2022年8月18日(木)

中東を読み解く

2019年5月11日

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“Bチーム”の暗躍?

 ベイルートの情報筋は軍事的緊張の高まりが故意に作り上げられた可能性があると指摘する。「イランが挑発行動を起こすといった情報はすべて“ためにする”リークだ。信頼すべき情報の出所がイスラエルだというのも怪しい。ボルトン、ビビ(ネタニヤフ・イスラエル首相の愛称)、2人のビン・ムハンマド(サウジアラビアとアブダビ首長国の両皇太子)の“Bチーム”が暗躍しているのではないか」。

 “Bチーム”とは反イランの4人の名前の頭文字をもじっての呼び名だ。とりわけボルトン補佐官については、ワシントン・ポストのコラムニスト、マックス・ブーツ氏が「トランプ大統領が中東への介入に後ろ向きであるため、ボルトン氏がイランに先制攻撃させようと挑発しているのかもしれない」と分析、ベトナム戦争拡大のきっかけになった「トンキン湾事件」を引き合いに出し、ペルシャ湾で“第二のトンキン湾事件”が起きることに懸念を表明した。

 今回の軍事的緊張はイラン指導部による挑発指示が要因だったのかどうか、真相は闇の中だが、ワシントン・ポストの別のコラムニストであるデービッド・イグナティオ氏によると、イラクのシーア派民兵は最近の米軍の異常な動きが軍事行動の前触れだったと懸念した可能性があることを明らかにしている。

 同氏によると、イラク中部ティクリート近くにある米軍基地「キャンプ・スペイサー」付近で最近、米軍ヘリが可燃物を投下して畑を焼き払った。この行動が民兵に、米軍の攻撃が切迫していると誤解を与え、民兵側が攻撃に備えた動きをし、米軍が狙われているとの誤った情報になったのかもしれない。

 米紙によると、米側にもたらされた情報の中には、イランが国際テロ組織アルカイダとつながっている、というものまで含まれているという。ボルトン補佐官が主導した2003年の米軍のイラク侵攻の際、サダム・フセイン政権がアルカイダの幹部と関係があるとの情報も侵攻の理由の1つになった。

 この幹部は後に過激派組織「イスラム国」(IS)を創設したアブムサブ・ザルカウイであったが、フセイン政権とは全く関係がなかった。同じ轍を踏む恐れがあることを忘れてはならない。

 こうした危機的な状況になってみると、政権内の良識派で、大統領のブレーキ役になってきたマティス国防長官の姿が政権内にないことがいかに深刻であるか、あらためて浮き彫りになっている。

  
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