2024年12月2日(月)

Wedge REPORT

2011年12月22日

世界人口が100億人に達すると予測されるなか、21世紀後半まで人口が伸び続けるのはアフリカだ。
「紛争が多い」、「貧困層が多い」と、日本人は思いがちだが、現実は違う。
いま、アフリカに欧米、中国企業が相次ぎ進出しているが、現地の人々を幸福にできていない。
文化や習慣、言語などの違いといった「多様性」への理解が足りないからだ。
それができるのは、日本人。来るべき「アフリカの時代」を見据え、今こそ行動の時だ。

途上国が世界を
牽引する時代へ

 2011年10月31日、世界の人口は70億人を突破した。国連人口基金が発表した「世界人口白書」によれば、50年までに世界の人口は90億人を突破し、今世紀中に100億人に達するという。

 これだけでも衝撃的だが、今世紀中にもっと大きな変化が起きる。それは、「途上国が世界を牽引する時代」を迎えるということである。国連人口部の人口推移予測グラフを読み解くと、50年までにアジア、アフリカ、中南米で世界人口の85%を占めるようになる。

 アジアの人口は50年の50億人をピークに減少に転じる。いま隆盛を誇る中国は、40年過ぎには、人口の伸びが止まり、急速な高齢化に直面する。中南米も50年に7億人に達したのち、それ以上増えない。だが、アフリカだけは例外だ。21世紀後半になっても一貫して伸び続け、2100年には30億5000万人にも達する。つまり、今世紀中に「アフリカの時代」が到来するのである。

 日本人にとって、アフリカは遠い。それゆえ、「人口が多くても貧困層が多いため、有望な市場にはならない」と思う読者も少なくないだろう。しかし、そのイメージは間違っている。

 多くの日本人は、「アフリカは紛争が絶えず、政情不安で危険極まりない」と思っているかもしれない。確かに、北部のチュニジア、リビア、エジプトは今まさにそうなっている。リベリア、シエラレオネなどの西アフリカも最近までそうだった。スーダン、ソマリアも紛争が絶えない。

 しかし、南部アフリカ開発共同体(SADC)諸国の事情は違う。加盟15カ国のほとんどの国々がしっかりとした政権基盤と、経済成長の可能性を秘めている。

 例えば、ナミビアは欧州並みに安全で、田舎に行ってもホテルは清潔、大自然が美しく旅行に最適な国である。ジンバブエはどうか。ロバート・ムガベ大統領は、独裁者のイメージが強いが、それは欧米系のメディアの影響だ。現地の教師や農民、商店主のみならず野党出身の連立内閣でさえ、「建国の父」として植民地主義者と戦ったとの評価のほうが高い。西欧の偏った人権政策の影響で経済制裁を受けたり、スーパーインフレに悩まされた時期もあったが、今後は目覚しい発展を遂げるだろう。

 ザンビアの将来性も高い。同国は、世界有数の銅の産出国であり、地理的にもSADCの中心に位置している。リーマン・ショック後の09年も6.3%もの経済成長を実現しており、今後、ますますの発展が見込まれる。政治もアフリカの中でもっとも安定しており、1964年の建国以降、内戦やクーデターは一度も起きていないし、大統領が憲法改正して任期を延ばし居座ろうとしたこともない。現職の大統領が落選しないような措置を講じる国が多い中、11年秋にあった大統領選挙は、まさに民主主義のお手本のようなもので、欧米が見習うべき点も多い。


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