2024年12月22日(日)

今月の旅指南

2019年6月24日

 雌雄一対の白鷺が、向かい合い羽を広げて舞う。「山陰の小京都」として名高い島根県津和野町に伝わる古式ゆかしい鷺舞は、京都の八坂神社の祇園会に起源を持つ。

弥栄神社をはじめ、町内各所で披露される鷺舞 津和野町観光協会=写真提供

 天文11年(1542)、津和野城主吉見正頼(まさより)が大内氏の息女を妻に迎えたのを機に、京都から山口に伝わっていた鷺舞が津和野でも行われるようになったという。戦乱でいったん途絶えたものの、寛永20年(1643)、当時の藩主亀井茲政(これまさ)が京都に町人2人を派遣し鷺舞を習得させて復興した。以来今日まで受け継がれ、平成6年(1994)に国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 鷺舞は毎年、津和野の弥栄(やさか)神社の大祭に合わせ、7月20日の渡御(とご)、27日の還御(かんご)の際に挙行される。舞方は鷺役2人に、邪気祓いの赤毛棒振(ぼうふり)の2人、小太鼓とバチを持った道化役の羯鼓(かんこ)2人で構成。これに笛や小鼓、鐘、太鼓の囃子方と唄方が加わる。鷺舞の衣装の羽は39枚の檜の板で作られ、両翼を扇のように開いたり閉じたりして舞う姿は優雅で美しい。

 鷺舞一行は神輿を中心とした御神幸行列とともに町内を巡る。渡御では11カ所、還御では9カ所で疫病鎮護のために鷺舞を奉納する。趣ある白壁や掘割の町並みが続く城下町で、伝統ある舞姿を眺めるのも一興だろう。

津和野弥栄神社の鷺舞
 <開催日>2019年7月20日、27日 
 <開催場所>島根県津和野町・弥栄神社など(山口線津和野駅下車)
   <問>津和野町観光協会 ☎0856-72-1771
   URL:https://tsuwano-kanko.net/
 URL:http://www.oidemase.or.jp/tourism-information/spots/13777

*情報は2019年5月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2019年7月号より

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 


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