前向きに読み解く経済の裏側

2019年6月24日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

そもそも26万円「必要」なのか

 最後は、「5万円足りない」というのは本当なのか、というチョッと理屈っぽい話です。

 報告書によれば、平均的な高齢夫婦無職世帯は支出が26万円強で、収入が21万円弱なので、毎月5万円強の資産取り崩しを行なっているようです。しかし、これは5万円不足しているということではないかもしれません。

 もしかすると、老後に必要な生活費は21万円なのかもしれません。したがって、年金だけで暮らせるのだけれども、現役時代の蓄えがあるので、それを少しずつ取り崩しながら「ささやかな贅沢」をエンジョイしているのかもしれません。

 仮に年金が26万円に増額されたとします。人々は26万円で生活するのでしょうか。それとも現役時代の蓄えを取り崩しながら毎月31万円の贅沢生活を楽しむのでしょうか。その場合、やはり「老後の生活資金は年金だけでは5万円足りない」ということになるのでしょうか。

 「我唯足るを知る」という言葉を思い出しましょう。足りないと思えば足りませんが、足りていると思えば、何とかなるのです。老後の生活も現役世代の生活も。

 もちろん、諸般の事情で働けない人、働いても生活費が本当に足りない人もいるでしょうし、そういう人のために生活保護等々の制度があるわけですが、普通の人は大丈夫だ、という話です。あしからず。

  
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