インド経済を読む

2019年7月4日

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野瀬大樹 (のせ・ひろき)

公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務・内部統制構築業務などに関わったのちに独立し、野瀬公認会計士事務所を設立。インドのニューデリーに、日本企業のインド進出を支援するNAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、代表に就任。日本インドの双方より、日系企業へのコンサルティング業務を行っている。近著に『お金儲けは「インド式」に学べ!』(ビジネス社)がある。

[著書]

雇用創出に奔走するインド政府

 もちろんインド政府も雇用問題に対して手をこまねいている訳ではない。

 例えば、インド政府が国家事業として行っている高速鉄道網の整備。これは日本の新幹線方式が一部導入されたことが日本でも話題になったが、その目的は道路渋滞の緩和やインフラ工事による経済の活性化だと言われている。

 しかし、もう一つの大きな目的されているのが「完成後の毎年の運営管理から生まれる莫大な雇用」だ。この鉄道網は現在工事しているムンバイーアーメダバードを皮切りにインド全土に拡大する予定であるため、雇用への長期的な貢献が期待されている。

 またモディ政権肝入りのスローガン「make in India」もまさにこの「若年層雇用対策」のためのものだ。従来インド経済の強みとされたIT産業と異なり、巨大な製造ラインを抱え、来る日も来る日も作業を行う製造業は雇用対策という点で非常に効果の高い産業だ。

 この「make in India」は、インドにそんな製造業を誘致しようという国策であり、「世界の工場」として短期間に圧倒的経済力と雇用を生み出して中国の成功例を意識していることは間違いない。

 鴻海がi-Phoneの生産工場をインドに作ることを発表したのは記憶に新しい。米中貿易摩擦が過熱する中、この決断はインドの雇用問題にとって朗報であっただけでなく、中国に生産拠点が集中している鴻海にとってもリスクヘッジ上良い決断だったと評価されてる。

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