2024年4月29日(月)

今月の旅指南

2012年1月27日

 戦後、日本が高度成長期を迎えるころ、少年たちの心を熱くしたチャンバラ時代活劇があった。当時大流行した剣戟(けんげき)映画さながらに、正義の剣士が悪人をなぎ倒す立ち回りシーンを迫力満点に描いた「風雲鞍馬秘帖」である。

剣光白頭巾 『少年画報』
昭和31(1956)年8月号

 昭和28(1953)年に少年雑誌「痛快ブック」に登場、大ヒットした同作品により、劇画という新たなジャンルを切り開いた植木金矢(うえききんや)(別名・寺内鉄雄、最上元など)。その足跡をたどる展覧会が開催されている。

 挿絵画家としてデビューした植木金矢は、時代劇のスターをモデルにした作品で一世を風靡し、さらに青年劇画誌で活躍。その後もオリジナルの映画ポスターをはじめ、伊豆の踊り子や原爆を題材にした日本画など、幅広い作品を手掛けてきた。90歳を迎えた今でも、新たな創作への挑戦は続いている。

 展示会場では約450点の作品を通して、デビュー当時から現在に至るまでの画業を紹介。チャンバラ時代活劇を知らない世代にとっても、どこか懐かしい昭和の空気が漂う、植木金矢の世界に浸るよい機会となるだろう。


伝説の劇画師 植木金矢展
<開催日>2012年1月3日~4月1日
<会場>東京都文京区・弥生美術館(東京メトロ千代田線根津駅下車)
<問>03(3812)0012
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

◆ 「ひととき」2012年2月号より


 

 

      

 
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