2024年11月24日(日)

From LA

2019年10月6日

ギグビジネスはウィンウィンならぬルーズルーズ?

 しかし今年春の上場が事実上の失敗と言われ、9月には400人近い従業員のリストラに追い込まれたウーバーにとって、このようなギグビジネスを増やすことは同社の収益を改善させるものにはならない、と批判する声もある。そもそもギグビジネスはウィンウィンならぬルーズルーズビジネス、という考えが定着し始めている。

 ライドシェアの強みはリアルタイムでオンデマンドで、タクシーなどよりも安いサービスを提供する、というところにある。しかしそのためにはドライバーは時給にすれば安い価格で労働力や自分の車を提供し、企業はドライバーの雇用からカスタマーサービスまでのコストを負担する。利用者にとっては確かにありがたいビジネスではあるが、ウーバーそのものは赤字が続いている。

 人材派遣でも同じようなことが起きることは容易に予想できる。企業はできるだけ安く人を雇いたい、働く人は逆に高い時給を期待する。空き時間に少しでも稼ぎたい、という人には便利かもしれないが、そこから生まれる利益は非常に薄いものとなる。ウーバーではウーバー・ワークをいずれは全米に広めたい、としているが、そうなればウーバー・ワークに登録する人がドライバーのように待遇改善を求めてデモを起こす事態になるかもしれない。

 そもそも米国で人材が不足しているのはITに代表される高度な技術や知識を必要とする業界だ。ウーバー・ワークがいわゆるエントリーレベルの仕事を対象とする場合、そこまでの需要が見込めるのか、という点も指摘される。


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