インド経済を読む

2019年10月8日

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野瀬大樹 (のせ・ひろき)

公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務・内部統制構築業務などに関わったのちに独立し、野瀬公認会計士事務所を設立。インドのニューデリーに、日本企業のインド進出を支援するNAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、代表に就任。日本インドの双方より、日系企業へのコンサルティング業務を行っている。近著に『お金儲けは「インド式」に学べ!』(ビジネス社)がある。

[著書]

2019-20年度、インドは圧倒的に景気が悪い

 インド関連のビジネスをしている人ならばもう十分感じ取っていると思うが、2019年4月~2020年3月のいわゆる2020年3月期、インド経済の状況は非常に悪い。

 代表的なものが自動車産業。今インドでは自動車業界はどこも売上が著しく悪く、ここ数カ月ずっと前年同月比40%近い売上減を続けている。さすがに10月末にあるディワリのお祭り以降は持ち直すとは言われているものの、それでも1年トータルで自動車産業の売上は10%以上落ちると言われている。

 実際、自動車産業で働く私の友達のインド人にも解雇される人が続出しており、私にも「日系の自動車会社で働き口があったら紹介してほしい」と履歴書を託されるケースが多い。ただ同業に転職しようとしても自動車産業はどこも不景気であり、再就職もうまくいかないのが現実だ。また、私は例年11月にインドの製造業を見学するツアーのサポートを現地でしているのだが、今年は見学を断られるケースが増えている。理由は簡単で、今多くの自動車会社が生産調整のために工場のラインを止める計画を立ており、その影響で多くの部品会社もその操業を一時的に止めたり、余剰人員の整理を始めたりしているのだ。

 これで困るのがモディ政権だ。

 モディ政権は今年5月に行われた下院総選挙で自らの経済政策の実績を大きくアピールしていた。2020年3月期の予想経済成長率は6.9%であるとし、これは中国を中心とする世界の主要新興国の中ではもっとも高い数値であるとし、政権の経済運営の大きく喧伝した。そして実際の選挙では大勝を果たしたからだ。

 しかしその選挙が終わるや否や自動車不況が顕在化し、国民の目からも6.9%といいう数字に疑問符が付き始めた。そこで、モディ政権は今回、電撃的に法人への大幅な減税を敢行することとなったという流れだ。

 従来、インドの「減税」と言えば、選挙を意識した低所得層への個人所得税の減税という「バラマキ」がメインであったのだが、さすがのインド政府もこの不景気は看過できなかったようで、経済界から強い要望もあった法人税減税に踏み切ったのである。

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