2024年11月22日(金)

赤坂英一の野球丸

2019年12月17日

なぜメジャーではなかなか通用しないのか

 日本ではベストナインやゴールデングラブ賞を受賞しているほどの内野の名手が、なぜメジャーではなかなか通用しないのか。通用しても短命に終わってしまうのか。あるセ・リーグ球団の元内野手で、MLB球団にコーチ留学した球界OBがこう説明してくれた。

 「一口に言えば、メジャーの内野手と日本に内野手とでは、スピードとパワーが全然違うからです。相手バッターの打球はもちろん、味方同士の連係プレーでも送球の速さと強度が段違い。

 日本人がメジャーで現役バリバリの内野手に交じってプレーしようとしたら、2倍とは言わないけど、1.5倍くらいのスピード、筋力、スタミナが必要でしょう。そのレベルに合わせて160試合以上も出場していたら、とても肩、肘、手首がもちませんよ」

 現役時代に2度FA資格を獲得し、自身も真剣にメジャー移籍を考えたという別の球界OBはこう証言してくれた。

 「ファンやマスコミがもてはやすほど、日本人選手とメジャーリーガーの差は縮まってはいないと思います。実際、日本からアメリカへ行って、日本以上の成績を残している選手が何人いますか。投手で野茂(英雄)さん、外野手でイチローさんぐらいでしょう。

 田中(将大)やダルビッシュ(有)は頑張ってはいますが、彼らが日本で見せた活躍に比べるとまだまだ物足りない。ましてや、内野手でメジャーリーガーに張り合えるほどの選手となると、過去にもいなかったし、いまもいないと断言していいんじゃないか」

 そうした現状からすると、巨人と5年契約を結び、日本で現役生活をまっとうしよう、と考えた坂本の決断には一理ある。これからセカンド、ショート、サードで台頭してくる若手は、FA権を取ったころにみんながこう考えるようになるはずだ。

 坂本さんを見習って現実的に日本で生きていくべきか。松井さんや井口さんのように夢を追いかけてメジャーに挑戦するべきか。

 もちろん、将来、広島・菊池、ヤクルト・山田がメジャーで大活躍すれば彼らに憧れる選手も出てくるだろう。いずれにせよ、坂本の〝生涯巨人契約〟が、メジャー志向を持つ日本人選手に一石を投じたことだけは間違いない。

  
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