2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2019年12月27日

私が出会った「ほったらかし」失敗例

 都内の物件を保有する40代のAさん(会社員)は、物件管理や空室対策をすべて管理会社におまかせしていました。オーナーの管理代行を行う管理会社は玉石混淆です。誠心誠意で対応してくれる会社や担当者もいれば、空室が出ても放置、物件の管理状況も把握していない担当者もいます。

 Aさんへのヒアリングを進めていくと、Aさんの管理会社は残念ながら後者であることが判明しました。また同時に、Aさん自身もご自身の物件について全く把握をしていない状況でした。空室30%の状況が続き家賃収入が入らず、ただただローン返済のために働く日々。

 それを少しでも解消したく、ローン金利が安い金融機関への借り換えをご希望でした。ローンを借りかえるにしても、金融機関の審査では今の入居者状況を確認されます。金融機関も「落ちこぼれ」と判明している物件へのローン貸出はしたくありません。審査に通るため、Aさんから管理会社へ再三抗議をしていただき、管理会社による積極的な入居者付けを要請しました。管理会社への交渉を初めて3カ月、ようやく管理会社が動き出し、7カ月後には空室率10%までにも落ち、無事ローン借り換えも成功しました。

 ここでお伝えしたいのは、「もしAさんが事前に物件の状況を把握し、自分で管理会社への催促をし、対策を講じていたとしたら、もっと早く赤字は食い止められた」ということです。もちろん悪い管理会社にあたってしまったという不運もありますが、それを含めてもAさん自身でもっと早い段階で食い止められたはずです。

 以上の通り、不動産投資にもリスクはつきものです。ただし、エリアや立地を見定め、築年数や間取りなど長く消費者受けできる物件を見つけ、良い管理状態を保つことで、不動産で「資産運用」していくことは十分可能です。

成功している投資家は「分散投資」をしている

 不動産投資は、他の投資法と組み合わせることによりリスク分散をすることが可能です。例えば、「株」「投資信託」「FX」は変動の要素が近いものになり、どれかが下がれば連動して下がるという特徴を持っています。

 一方、不動産投資はこの変動要素から切り離されているものなので、市場の影響を受けにくいという面があります。実際に、私が対応してきたお客様でも不動産投資単体でなく株やFXと組み合わせて投資をしている人は7割程度にのぼります。もし余裕があるのであれば、資金を分散させることにより何かあった場合のリスクバランスをとることができます。

 投資に「絶対大丈夫」はあり得ません。「この物件に賭ける」ではなく、「長期目線で資産を形成する」という視点で可能な範囲での資産運用をおすすめします。

  
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