2024年4月20日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年1月8日

「弾劾(impeachment)」の削除

 イラン司令官殺害の動機をもう1つ挙げましょう。米メディアは、昨年11月に米議会下院で初の弾劾公聴会が開催されると、連日トランプ弾劾について報道してきました。トランプ大統領は紙面の1面から「弾劾」の文字を削除したかったことは確かです。米国民の目を弾劾からそらすには、対イラン政策において「極端な選択肢」を選ばなければならなかったはずです。それがソレイマニ司令官殺害でした。

 司令官殺害後、米メディアは弾劾よりもイラン危機を大きく扱うようになりました。トランプ大統領は自身のツイッターに「弾劾に時間を浪費するべきではない」「弾劾は即座に終了するべきだ」と投稿し、重要な問題が他にあるとつぶやきました。「米国対イラン」の対立構図をより鮮明にして、米国民の関心を弾劾からイラン危機に向けたかったのでしょう。

 結局、司令官殺害は弾劾と無関係であったとはとても思えません。

  
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