次に、エリー氏にカルマとRevero、SC2との共通点について聞いた。エリー氏はカルマがフィスカーだった時代からのプロパー社員であり、フィスカー創業者であるヘンリク・フィスカー氏の盟友でもあった人物だ。同氏は破綻後もフィスカーを去ることなく、カルマの幹部として現在も同社の中心となっている。
同氏は「Reveroのデザインを見れば、フロント部分がすっきりとしているのにお尻の部分がやや太めでしっかりとした形になっている。全体の流線型など、カルマのDNAを確実に受け継いでいる部分がある」と語る。ただし中身は進化している。
振り返れば、フィスカー・オートモティブだった時代はライバルはテスラのみであり、EVの黎明期でもあった。しかし今はアドバンスド・テクノロジーの時代であり、コネクテッドカーにより様々なサービスを提供できる時代だ、とエリー氏は言う。自動車メーカーという枠組みを超え、例えばヘルスケアなど様々な分野のサービスを展開できる可能性があるという。
テスラ、ポルシェを超すラグジュアリー車
しかしライバルも増え、競争が激しくなっているが、その点については「カルマはプレミアムカーであり、他社とはカテゴリーが違う」と言う。テスラやポルシェでさえ「ラグジュアリーであってプレミアムではない」というのだ。確かに価格面で比較するとRevero GTSは149,000ドル。SC2に至っては100万ドルを超える価格設定だ。
ちなみにSC2は0-60マイル(停止状態から時速100キロ達成)が1.9秒というモンスターカーだ。現在最速と言われるテスラモデルSやポルシェカレらでも2秒台だから、実現すればまさに世界最速の車となる。僅かな台数しか生産されない予定だから、スーパーカーというカテゴリーに入るかもしれない。
つまりターゲットとする層が異なるため、EV界ではライバルが不在という状況だ。そして「この価格でも、使用している素材や完成度、性能を考えれば安い」と自信を覗かせる。自動運転もBosch社と提携してレベル2は達成している。
同じ会社から派生した現在のカルマ・オートモティブとフィスカー社を比較すると、一方は超高級路線を追求し、一方は廉価版EVに活路を見出そうとしている。この両社の将来にも注目が集まっている。
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