2024年4月27日(土)

田部康喜のTV読本

2020年1月19日

雑誌編集部の現場も忠実に再現

 筆者は2年余り、休刊した「朝日ジャーナル」の記者の経験がある。ケイトが所属している、週刊誌「イースト」の編集部の雑然とした雰囲気と、企画会議の激しさ、取材の醍醐味が懐かしい。

 編集長の岩谷進役に佐々木蔵之介、デスク陣に山内圭哉、和田聰宏、小林きな子、本多力ら演技派の俳優を配して、特ダネ競争に挑む週刊誌編集部の熱気が伝わってくる。

 ケイトが出生の秘密を追いながらも、取材活動のなかで特ダネを飛ばしていく毎回のエピソードも楽しめる。

 第1話(1月8日)は、国際ロマンス詐欺にひっかかってパレスチナにいるという医師に送金を続ける、茶道の師匠・多賀笑子(倍賞美津子)に、ケイトが取材する。警視庁の刑事や笑子の息子の情報によって、詐欺は明らかであることをケイトは笑子に訴えるが、相手にされない。

 恋人の野中に関係を切られたケイトは、人を愛するということは孤独ではなくなることを知る。笑子のもとを再度訪れたケイトは、「愛が売っているなら買えばいいじゃないですか。自分で稼いだお金なんですから、どんどん使えばいいと思います」と、笑子に語るのだった。ケイトの言葉によって、取材に応じる。ケイトの記事は、単なる国際ロマンス詐欺にとどまらずにその先にある孤独の問題にも切り込んだものだった。

 第2話(1月15日)は、お互いのDNAを調べて、相性がいいふたりを合わせて、結婚を決めるパーティーの取材だった。ほとんどのカップルが結婚を前提にして交際を始めたのに、男性の山際(えなりかずき)だけが次の段階に進めない。実は、山際が好きな女性がDNAの相性がかなり低いので、悩んでいた。山際は「10倍努力する」という。ケイトは「こんな男性は世の中にいませんよ」という。ケイトの記事は、単なる流行を追うのではなく、愛することはDNAだけの問題ではないことを描いていた。

 乃十阿は、浜辺の小さな地域で暮らしている。ケイトとの出会いの瞬間がドラマの焦点である。

   
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