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2020年2月13日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

地元志向が強い地方大学生

 渡部副グループリーダーは「地元志向が強いのは、親の影響がかなりある。少子化で子供の数が少なくなっているので、親の意向はできるだけ地元に就職してもらいたいようで、学生の側も親の意向に沿う傾向が強いようだ」と打ち明ける。

 せっかく難関の総合職試験に合格したのならば、東京に出て中央官庁でチャレンジすればと期待するが、学生の気持ちは「中央官庁に就職しても、周りが東大卒など自分より優秀な人ばかりだと、出世するのも難しい。地元の方が気遅れしなくて済むし、それなりに活躍できるのではないか」と思うのかもしれない。

 地元に就職すれば転勤も少なく、ラクに暮らせる。背伸びして東京に出ても出世できるかどうかは分からない、それよりも地元でのんびりと地方自治体の役人として暮らす方が得策だ、というのが平均的な就活マインドなのだろうか。

 東大卒が中央官庁、早稲田大学卒は都庁、岡山大など地方大卒業生は地元の県庁か市役所に就職する。これまでの大学と役所の「序列」に沿った形で就活するのは、今どきの学生の安定志向の表れかもしれない

 励みになるだろうと思う事例もある。岡山大学の卒業生で「霞が関」でトップまで上り詰めた官僚が3人いる。あの田中角栄首相の秘書官で『日本列島改造論』を書いた小長啓一・元通産次官。郵政トップから稲盛和夫氏と一緒にKDDIの発足に尽力した奥山雄材・元郵政次官。ロッキード事件など多くの政界がらみの事件を東京地検特捜部検事として指揮した吉永祐介・元検事総長らだ。

 こうした先輩の後を継いで「霞が関」という国の中枢で一旗揚げてやろうという野心のある学生があまりいないというのは少し寂しい気がする。

  
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