2024年4月17日(水)

古希バックパッカー海外放浪記

2020年2月23日

旧日本軍の士官官舎は若者に流行りの観光スポット?

温泉公園にある森林風呂は日本のスーパー銭湯そのもの

 5月13日、台湾東海岸の中心都市である花蓮には様々な日本統治時代の遺産が保存されている。観光資源としての価値が再認識されて官民協力して積極的に補修・管理しているようだ。戦前の国鉄の駅舎、日本酒・紹興酒・焼酎(白酒)を造っていた旧醸造所、製糖工場などがキレイに復元されていた。

 中でも驚いたのは『将軍府』である。旧日本軍の士官官舎である。十数軒の木造平屋建ての古びた官舎が並んでおり一部は修復工事中であった。

旧日本軍士官宿舎前に設けられたお稲荷さん

 官舎をバックに男女のファッションモデルが写真撮影をしていた。さらに官舎の前に新しく作られたお稲荷様が設けられており多数の絵馬が掛かっていた。絵馬の内容は合格祈願や恋愛成就が多かった。参拝者には若い人が多いのであろう。

 台湾の若い世代がファッション(流行り)として願掛けをしているようだ。日本のマンガ、アニメと同じ感覚で神社やお稲荷様が受容されている。

台湾の温泉で正統日本式入浴作法を学ぶ

 5月17日、台湾北東部の急峻な海岸線を走って礁渓温泉に到着。新しいホテルや旅館があちらこちらで建築中であり町全体がモダンな印象。

 足湯や温泉公園などが整備されており台北から大勢の観光客が訪れている。初日に温泉公園内の『森林風呂』に入湯。入場料大人120元(480円)であるが老人優待で半票(半額)。入り口に暖簾が掛かっているところや、露天風呂、水風呂、打たせ湯、洗い場があるなど日本の温泉(またはスーパー銭湯)と変わらない。

 翌日は古くからある公衆浴場へ入湯。屋根は飛騨葺であり、大きなヒノキ造りの浴槽が湯煙をあげていた。まるで日本の鄙びた山奥の温泉のような雰囲気である。

 嬉しくなって浴槽に入ろうとすると、正面で湯につかっていた地元の老人がダメダメという仕草で何か注意する素振りを見せた。近くの男性が“掛け湯”をしてから浴槽に入れと丁寧にジェスチャーで教えてくれた。

 湯船に入る前に掛け湯をするのは日本の温泉や公衆浴場では当然のお作法である。オジサンは放浪旅でインドネシア、インド、中国、ハンガリーなど海外の温泉に入っているが海外ではそんな作法がないので、台湾も同様だろうと思い込んでいたのだ。

 台湾では日本の伝統が継承されていることに改めて感心した。

台湾のゆるやかな精神風土の起源は

 台湾では日本統治時代の遺産が大切に保存されており、現代でも日本統治時代の価値観や精神が自然に台湾の人々に受け継がれている。

 台湾を周遊して分かってきたのは、台湾の人々が持っている寛容性、受容力である。日本の神社やお稲荷さん、さらには軍艦までも信仰の対象としてしまう、すなわち是々非々で異文化を摂取して豊かな多様性に富んだ独自の文化を形成する精神風土である。

 そうした精神風土の起源は客家を主とする大陸からの移民と紀元前に南方から渡航してきた原住民との混血ではないだろうか。客家は中原を追われて四川や華南に流れてきた人々である。客家には異郷で生きてゆく応用力柔軟性(落地生根)がある。

 大陸からの移住者と原住民が混血して農耕地を開拓してゆく歴史のプロセスの中で異文化への寛容性や受容力が培われたのではないだろうか。

 中国共産党がいくらプロバガンダしても台湾の精神風土には共産党のイデオロギーは受容し難いのではないか。

⇒第5回に続く

  
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