ティータイム、三度の食事は威儀を正して
(承前)9月17 日。午後3時頃キャンプ地に到着すると先行したコックとポーターにより既にテントが設営されていた。そしてテントの入口の日除けの下にテーブルと椅子がセットされていた。我々が到着するとポーターが3つの洗面器にお湯を入れて恭しく持って来た。手と顔を洗う。
テーブルに座って雑談していると、コックがポットに入れたお湯を持ってきてティータイムだという。驚いたことにテーブルにテーブルクロスを掛けて紙ナプキンも置いた。
コーヒーの入ったポット、カップ、砂糖、ミルク、ティーバッグ、ビスケットなどが運ばれてくる。ミルクは温めてあり英国式ティータイムである。
夕食では最初にスープが運ばれ、パン、サラダ、そしてメインディッシュとなる。メインは肉料理である。毎度毎度かなり手間暇かけた料理が供された。日本の山小屋メシとはだいぶ様子が違う。
キャンプ地の他のパーティーの食事風景も同様だ。隣のオーストラリア人の10人の中高年男女のグループでは大きなテントのなかに長方形のテーブルを設えて晩餐会のような雰囲気であった。
19世紀のスタンレー、リビングストンの時代から欧州列強の植民地時代にわたり西洋式食事作法を移植していったのだろう。
標高4700Mまではノンビリ山歩き
2日目は約4時間歩いて標高3400Mでキャンプ、3日目は3時間弱歩いて3900Mのキャンプ地まで登る。山歩きに慣れている人なら物足りないくらいであろう。これが高地順応のペースなのだろうか。
ガイドは頻繁に『ゆっくりゆっくり』と呼び掛ける。現地語で『ポレポレ』というが、ポレポレ・ペースで歩けば無理なく高地順応できるという。
3日目のキャンプ地でドイツ人女性カタリーナと遭遇。彼女は1人なのでガイドとコックとポーター3人を雇って登山していた。登山費用を節約するためにエージェントを何軒も周って最終的にチップ込み1500ドルで決着したとのこと。ゲルマン民族は精神的にも逞しいと感心。
さらに驚いたことに日数も短縮して我々が3日かけて登ってきたルートを1日で踏破。カタリーナはフォルクスワーゲンのエンジニアであり、メキシコ工場に派遣されてメキシコ人技師と結婚。現在もメキシコ工場で働いているが、2人同時に休暇が取れず1人でキリマンジャロ登山をしているとのこと。
見るからにアスリート体型である。趣味がトライアスロンと聞いて納得。
テント泊は辛いよ!
キャンプ地は一見して平たんな場所であるが、実際に横になってみると複雑に傾斜している。
寝る時はエアーマットの上に寝袋を広げてさらに内側にインナーシュラフを入れて寝る。テントの中で何度エアーマットの位置を直しても微妙に傾斜している。その結果、寝ていると次第に寝袋がエアーマットから滑って動いてしまい、夜中に何度も起きて寝袋の位置を直すことになる。
山小屋が整備されているルートは短い距離で高度を上げてゆく。そのため高度順応に難があると言われている。しかし山小屋と言っても個室にベッド、水洗トイレ、食堂が完備しておりテント泊よりはずっと快適のようだった。ちなみに料金はテント泊も山小屋泊もほとんど変わらない。