「環島」(フアンダオ)とは台湾島一周旅行
台湾は日本の九州と同じくらいの面積。日本のテレビ番組でも何度か紹介されているが自転車で台湾の海沿いを一周するサイクリングルートが整備されている。
自転車で走っていると「どこに行くのか」と地元民から頻繁に聞かれる。台北からスタートして反時計回りに『環島』をしていると答えると必ず「素晴らしい」と感嘆の声が上がる。『環島』とは台湾島一周旅行の略称であり愛称だ。
『環島1号線』は総延長936キロの台湾一周自転車道である。環島1号線は海沿いの幹線国道、省道、県道、サイクリングロード(自転車専用道)からなる。実際に走ってみると車道の端に自転車走行車線が設置されている区間が大半である。しかし自転車走行車線の幅が通常2メートルほどあり、広い区間では4メートル近くあるので快適である。
さらに観光地や自然保護区では自転車専用道の支線が設けられている。環島1号線をメインにして風光明媚な地域では支線を走る。給水所、トイレ、空気入れがある休憩所が至る所に設置されている。
田舎では警察署や役場が休憩所を提供している。国家的プロジェクトとして環島サイクリングロード整備に力を入れている。
道中で出会ったサイクリストの話を総合すると、ロードレーサータイプの自転車で背中にデイパックを背負う身軽なスタイルであれば環島(台湾一周)は10日から2週間程度で走破可能のようだ。西海岸は比較的平坦なルートであるが、南端から東海岸は美しい海岸線が続くが高低差があり難度が高い。
オジサンは若者サイクリストの2倍の4週間で環島するという“ゆとり計画”とした。
いつでもどこでも泊まれる自転車&キャンプ旅
台湾に限らず海外で自転車旅行する場合に問題となるのが宿泊だ。観光地や都市であればホテルやゲストハウスなど宿泊施設は比較的容易に確保できる。しかしタイミングよく希望する時間帯にそうした宿泊施設に到着することは稀である。しかも地方や田舎では宿泊施設そのものがない。
坂道などの地理的要因や風向きや雨量や気温などの天候より一日の最大走行距離は50~100キロと異なる。事前に予測することは不可能。さらに道中では風光明媚な景観や名所旧跡があれば気ままに寄り道するので、朝の時点で夕べの宿泊施設を決めて予約することができない。
従い自由気儘に自転車旅行を楽しむためにはどこでも寝泊まりできるようにテント・寝袋・エアーマットなどキャンプ用品を携行するのがベストだ。自転車の修理道具、空気入れ、予備のチューブ、ユニフォーム上下、着替えなどに飲料水等を加えると常時15キロくらいの荷物となる。これを自転車の前後のバッグに携行する。
1日の走行距離はどのくらい?
自転車の自重が13キロなので携行荷物と合せて合計30キロ近くの重量をペダルを漕いで運ぶことになる。平坦な舗装道路でも平均速度はせいぜい毎時12キロ程度である。無風でも毎時15キロを維持するのは至難。さらに上り坂では大半の時間は自転車を降りて押し歩きしなければならない。
1日の実走時間を5時間から最大8時間に決めている。距離的には1日50キロから80キロ走るという前提である。オーストラリアのタスマニア島で緊急事態のため朝7時から夜9時まで必死で走って120キロ移動したことがある。しかしこれは例外中の例外であり、1日100キロ以上の移動は体力的に無理であり危険だ。夕暮れ以降は原則として走行しない。
そのため宿泊施設やキャンプ地点には午後4時前必着を目標としている。
自転車を飛行機で運んでもらうためには
私は海外の自転車旅行では原則として20インチタイヤの折り畳み自転車(folding bike)を使用している。自転車の前後に荷物を積めるようにキャリアー(荷台)を取り付けている。
自転車で海外旅行する場合に厄介なのが自転車を機内にどのようにして預入手荷物として搬入するかという問題がある。LCCは自転車の持ち込みに対しては法外な超過運賃を要求する。
LCC以外の航空会社では“自転車を分解して専用ケースに入れる”ことを条件に比較的低料金で輸送してくれる。さらに日系航空会社や大手航空会社ではエコノミークラスでも1個の重量20キロ以内で2個までなら自転車でも無料というところも少なくない。
ちなみに日本~欧州のエコノミー往復航空券の場合、自転車に対して超過運賃を徴収する航空会社の場合でも往復で200ドル~300ドル程度の追加出費であるので想像するよりも安いように思われる。
しかし、分解には手間がかかる上に、『専用ケース』というのが悩ましい。プロの自転車選手が高価なレーサーを運搬するために使用するハードケースを要求する航空会社もある。高価なハードケースは海外の空港に着いたら無用の長物となる。ソフトケース(布製のカバーも含む)でもOKの航空会社も多いので、毎度事前に航空会社に『専用ケース』の具体的定義を確認する。