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2020年3月17日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

日本式の農業ビジネスを通じ、巨大なインド市場へ進出

 ブータンでは若者の失業が社会問題となっている。せっかく日本で技術やビジネスを学んでも、就職先はなかなかない。酒井氏の現地法人構想が実現すれば、帰国する人材が働ける。また、現地から「社内研修」として、日本へ人材を送ることも可能になる。

 「投資するのは私たちですから、赤字になっては困ります。しかし儲けるよりも、ブータン人の利益になることが最優先です」

 ブータンは国境を接するインドとの関係が深い。日本式の農業ビジネスを通じ、巨大なインド市場へ進出できる可能性も広がる。

 ブータンでは観光以外の産業はほとんど育っていない。大学を卒業しても、公務員以外にはホワイトカラーの仕事がほとんどない。ブータン政府が斡旋業者と組み、日本への留学制度を進めたのも失業対策が目的だった。そんな状況が、制度の被害者である元留学生たちによって改善されるかもしれない。

 ブータン人にとって「農業」は馴染みが深い。国民の多くは今も農業に従事しているが、近代化されてはいない。愛媛から帰国した人材が、ブータンの農業に変革を起こし、輸出産業へと成長させていくーー。それはブータン人たちを採用した愛媛の経営者たちの夢でもある。

  
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