2024年6月16日(日)

Washington Files

2020年3月16日

公衆衛生政策を軽視

 しかし、今回のようなトランプ政権のコロナウイルス感染対応の問題点は、大統領のこうした直近の軽率発言にとどまらず、より深いところにその根源がある。つまり、民主党が主導してきた公衆衛生政策や各種プログラムそのものを軽視し、機会あるごとに規模縮小などの措置をとってきたことだ。

 たとえば、2018年政府予算では、CDC統括下の「グローバル・パンデミック対策予算」をオバマ政権時代より80%もカットした。

 このため、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)内の担当局長が抗議辞任すると、大統領は見せしめ措置として、同部門担当チームそのものを強制解散させる騒ぎとなった。

 同チームはその後今日に至るまで、補充人事はなく、休業状態のままだという。

 さらに今年2月発表された2021年度予算教書でも、CDC予算全体が16%カットされたほか、コロナウイルス感染のようなグローバルな疫病発生に備え世界各国との連絡調整、相互協力を受け持つ組織内の「世界保健プログラム」についても、30億ドル(約3300億円)がバッサリ予算から削られた。

 また、トランプ大統領は「コロナウイルス感染対策」の最高責任者にペンス副大統領を任命したが、ペンス氏はもともと、インディアナ州知事時代、エイズ対策に関連して、専門家チームが患者拡大防止策の一環として、洗浄注射器との交換を提案した際に、「同性愛行為を助長させることになる」としてこれを却下、その結果、エイズ患者を拡大させ、のちに厳しい批判にさらされた経緯がある。このため、議会民主党議員の間からは、今回のペンス氏登用にあたり、その適正に疑問の声も上がっていた。

 このように、政権発足当初からの公衆衛生対策軽視の体質を抱えたまま今日に至ったことが、コロナウイルス対策が後手後手に回ってきた一因であることは否定できない。

 米国内におけるコロナウイルス感染が一段と拡大する中、有力紙(誌)の大統領執政に対する批判が一気に吹き出し始めている。

 ワシントン・ポスト紙(13日付け)は次のように報じた:

 「大統領は政府機関の感染拡大防止の取り組みを賞賛し『ウイルスはわれわれと戦ってもチャンスはない。世界中にわが国以上にウイルス来襲により良い準備をし、強靭に立ち向かうことのできる国はない』と豪語してきた。しかし、ウォール街の1987年以来という最悪事態に先立つ威勢のよさはバックファイア(逆火)を呼び起こした。

 これまでのコロナウイルス感染問題に関する彼の度重なる言い逃れ、取り違え発言、振る舞いが金融市場を動揺させ、(突然の入国禁止措置をとった)欧州同盟諸国との関係を傷つけ、多くの国民を混乱に陥れ、歴代大統領にとって最も大切な大統領職の存在価値そのものの信用を失墜させてしまった……。

 大統領は記者団に『わが国には途方もない素晴らしいウイルス検査体制がある』と述べてきたが、実際には国内各地から検査実施施設や検査結果判断を下す専門機関が不足しているとの不満が寄せられており、他の多くの諸国並みの機能的な公衆衛生・予防体制の欠陥こそが、すでに確認された感染件数をはるかに上回る危険に国民をさらすことになる」


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