2024年7月16日(火)

Washington Files

2020年3月18日

民主党内の分裂が回避される公算

 ところが、3月に入り、政治風景は一変した。

 まず、誰もが予想もしなかったコロナウイルスの国内感染拡大と景気後退への懸念だ。すでにウォール街証券アナリストたちの間では、その深刻さは世界同時不況の引き金となった「2008年リーマンショック以上」との見方が広がっているほか、ムニューシン財務長官も17日「(事態を放置した場合)20%の失業率を招く恐れがる」と警告した。

 しかも、今回のコロナウイルス危機では、初期対応が遅れ、その深刻さについて軽視発言を繰り返してきたトランプ大統領の執政に対する批判が相次いでおり、今後危機が長引き、影響が今年後半にまで及んだ場合は、大統領選の厳しい戦いを余儀なくされることになりかねない。

 第二に、民主党候補争いでバイデン氏が独走態勢に入り、指名獲得をほぼ確実にしたことで、トランプ陣営がひそかに期待していた民主党内の分裂が回避される公算が大きくなったことだ。

 この点に関連して、サンダース候補は「自分は勝てないレースにいつまでもしがみつくようなマゾヒストではない」(3月11日、ABCテレビインタビュー)、「もしあなた(バイデン候補)が正式に指名されることになった場合、私は全面支援する」(3月15日、両候補TV討論会)などと語っており、最終的には党内分裂を避け、トランプ再選阻止のために積極的に協力していく姿勢を明確にしている。

 2016年大統領選では、サンダース氏が党大会で最後までヒラリー・クリントン候補の党指名に異議を唱え続け、党内対立のしこりを残したことが、結果的にトランプ勝利につながったとされてきた。

 しかし、今回の選挙では、民主党は前回のような混乱をへることなく「トランプ打倒」に向け、党挙げての臨戦態勢を敷くことになりそうだ。

  
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