2024年4月27日(土)

World Energy Watch

2020年3月24日

凍り付く米国ビジネスと雇用

 米国でコロナウィルスの感染者数が最も多いのはニューヨーク州だ。現地時間3月20日午後9時の時点で1万356人となっている。同州のクオモ知事は、18日に従業員の50%を在宅勤務にするよう企業に要請したが、19日に75%、20日には22日午後8時以降100%に引き上げると発表した。

 必要とされる業種、医療関係、銀行、食品製造、報道機関、薬品、輸送、卸売り、エネルギー産業を除き全員在宅勤務となるが、公共交通の運行は維持される。従わない企業は罰金支払いあるいは召喚される可能性がある。全ての集まりも禁止され、従わない場合には最終的には逮捕もありえるとニューヨーク市警は警告している。

 さらに、知事は、対策の影響を受け解雇あるいは賃金減少にあった従業員などには住宅ローンの支払いを90日間猶予すると発表したが、既に米国全土でも多くの労働者が雇用の問題に直面している。3月13日から14日かけて行われたPBS(公共放送サービス)/NPRなどの世論調査によると、コロナウィルスに懸念している人は70%、2月の調査44%から大きく跳ね上がっている。本人あるいは家族が解雇、あるいは勤務時間の短縮にあった人は18%だが、世帯収入5万ドル未満の家庭では25%、以上では14%。世帯収入が少ない家庭がより影響を受けている。

 雇用への影響は拡大しているようであり、米国の中小企業の勤怠管理請負などを行っているホームベースは、図の通り、小企業の時間給労働者の仕事がない状態を毎日集計している。1月との比較では4割以上の人が仕事がない状況に陥っている。

 クレジットカードの決済会社グラビティペイメントのCEOによると、同社が取り扱う決済の落ち込み額はシアトルで3月19日までの2週間で30%減、ポートランドは1週間で26%減、サンフランシスコ12%減とのことだ。全米48州でレストランのカード決済を請け負っている企業によると、ニューヨーク州36%減、ニュージャージー州37%減、カリフォルニア州27%減だが、これからさらに減少幅は大きくなる。

 全米の失業者は急増しており、労働省によると3月14日までの1週間の新規失業保険申請は前週より30%増の28万1000。州知事がレストラン、バー、ジムなどの閉鎖を命じたオハイオ州では、失業保険申請受付のインターネットサイトも電話もパンクし、申請ができない事態になったとニューヨークタイムズ紙が報じたが、地元紙は知事が閉鎖を命じた後の17日火曜日1日だけで申請が2万9177、前週の5430から急増したと伝えている。

 欧州では自動車産業がコロナウイルスにより中国からの部品供給の影響を受けたが、外出禁止の影響を受け、大半の自動車メーカは一時的に工場閉鎖を強いられている。


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