銃砲店は生活に必要不可欠
全米ライフル協会などは、多くの州が銃砲店の閉鎖を要求したことから、カリフォルニア州、ニュージャージ州政府などを相手に閉鎖要求は憲法違反であるとして訴訟を起こした。一方、CISAは、3月28日必要な職種の見直しを行い指針の改定版を発行したが、その中に新たに必要不可欠な職種として、銃製造、輸入、販売、射撃場などが含まれた。
銃規制団体ブラディは、「感染の問題と修正第2条とは関係がない。しかも銃販売は密室で密着した環境で行われ、自販機とか路肩では販売されていない、感染対策上問題」と指摘した。一方、全米ライフル協会は、「協会が裁判所で戦っていることを反映しトランプ大統領の国土安全保障省が指針を見直した」と声明を発表した。
この指針見直しを受け、3月30日ニュージャージ州は、予約制で時間を限定した販売を行う条件を付け銃砲店の営業を認めることにした。また、州知事が銃砲店を必要不可欠とするかどうかの判断を行わず、各郡に委ねたカリフォルニア州では、ロサンジェルス郡が警察あるいは警備会社立ち合いの下での予約販売を認めることになった。全米ライフル協会は、ニューヨーク州、ニューメキシコ州などを対象にさらに訴訟を起こすとしている。
銃砲店の営業がこれほどの問題になる背景には、米国民の銃に対する考えが規制強化と現状維持・緩和に二分している現状がある。さらに、共和党支持者に反銃規制の考えを持つ人が多く、指針見直しはトランプ大統領の再選も後押しする。
銃を持つ人が3割の米国
2019年8月の米ギャラップの世論調査によると米成人で個人的に銃を保有する比率は30%、自分を含め家族の中で銃を持つ人がいる比率が43%だ。白人家庭での比率は50%、黒人家庭29%、ヒスパニック26%。支持政党別では、共和党支持61%、民主党28%、無党派44%であり、共和党支持者に銃保有者が相対的に多い。
2019年10月の米ピューセンターの調査では、30%の銃保有者のうち3分の2は2丁以上の銃を持ち、29%は5丁以上を保有している。銃に関する法を厳しくするかどうかについては、年齢による意見の差はあまりないが、支持政党による差は大きい。共和党支持・どちらかと言えば支持層では、規制強化が31%、規制緩和が20%、現状維持49%に対し民主党・どちらかと言えば民主党支持層では、規制強化86%、緩和4%だ。全体では規制強化60%、緩和11%となっている。共和党支持者は銃に関して相対的に寛容なように思われる。
CISAは、銃に加え、トランプ大統領の強力な支持層である石炭産業も必要不可欠として見直した指針の中に書き込んだ。