2022年12月3日(土)

WEDGE REPORT

2020年4月23日

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テープが張られたビーチ。水泳とサーフィンは許可されている

 第三の要因としては、意外かもしれないがハワイ州民の大多数が民主党寄りのリベラル派であることだ。アメリカでは民主党寄りの州と共和党寄りの州がはっきり分かれており、政治的信条も大きく異なる場合が多い。新型コロナウイルスは政治ではないが、アメリカ国内では今これについて人々の健康と安全を優先事項とする民主党側と、経済と普段の生活継続を優先する共和党側で意見が大きく異なっており、共和党支持者が多数を占めるいわゆる「レッドステート(Red States)」では、新規感染者が多く出ているにも拘らず経済再開を急いでいる。

 トランプ大統領もツイッターで自身の支持者に各州政府への反抗をけしかけるなどして火に油を注いでいる状態だ。半面、ニューヨークやカリフォルニア、ワシントンなど民主党寄りの州では、新型コロナウイルスのアメリカ上陸後の感染者数増加が早かったこともあってか事態を重くみており、他州に先立って外出禁止令を発動し対応してきた。

 ハワイでは住民が政府の命令に抵抗せず従っている。これまでも筆者が見る限り外に出る際にはマスクを着用する人が多かったが、20日以降は外出の際のマスク着用が義務化される。またスーパーなどの店内でも人々はソーシャルディスタンスを遵守しており、用事のないときは極力自宅にいる。普段は観光客が多くどこも混んでいることも多いハワイだが、今は道やスーパー、駐車場も空いていて、色々な意味で我慢は強いられているものの、その反面通常より物事がスムーズに進んでいると感じる人も多いだろう。

 そして第四の要因はハワイの気候と交通事情だ。年中温暖で涼しい貿易風が吹く日も多いハワイでは室内の空気が籠るということはほとんどない。そしてハワイでは車を使う人が多く、公共交通機関は市バスのみ。最近ではシェアバイクを利用する人も多いため、市バスの利用者は限られており、「空気が籠る室内環境で他人と近い距離にいる」という状況がほとんどない。

ハワイ、外出禁止令解除後の展開は?

 ハワイ州内で3月25日に施行された外出禁止令は今のところ4月30日まで続く予定だ。しかし、ハワイ州政府は休校措置を解く前に、州内の新規感染者数が14日間連続で「0」になる必要があると示しており、外出禁止令解除もまた同様とみられる。今の状態から予想すると、4月30日以降少なくとも1~2週間程度は外出禁止令延長される可能性が高い。

 それでも、ハワイ州内の新規感染者が減少傾向にあることから、州内だけでも来月中には住民の生活が段階的に元に戻る可能性が現実味を帯びてきた。そうなれば学校の授業も再開され、今まで通りに家族や友人と交流が可能になり、自宅勤務は解除されてオフィスに戻ることができ、ショッピングモールなどの店舗も営業が可能になる。しかし、「三密」になることも多いレストランやジム、ナイトクラブなどの営業は今後も何らかの形で規制される可能性が高い。

 しかし、もしハワイ州内で外出禁止令が解除されても、ハワイ以外ではまだ新型コロナウイルスが猛威を振るっているため、観光客の受け入れを再開したら元も子もなくなってしまう。渡航規制および渡航者の自主隔離は、国内外各地の出発空港、およびハワイの空港における感染検査体制が整うまでこのまま続くと思われるが、せめてハワイ州内だけでも経済や学校を再開することで、多くの州民の生活を元に戻すことが可能になるだろう。

 現在感染者数が激増している日本がハワイに倣う点があるとすれば、まず第一に1人1人が「自分と家族は大丈夫」という気持ちを持たず、危機感を持って行動することだ。そして、政府がパチンコ店など一部を除外せずに外出自粛のガイドラインをはっきり定め、それを徹底させること、政府が都道府県間の往来を規制して、感染を他の地方に拡大させないことが挙げられる(ハワイ州内では現在、州内でも島間往来の際は14日間の自己隔離が必要)。

 このような状況下では政府が断固として行動すべきで、様々な意見や要望に耳を傾けて右往左往していたら事態は収束しない。政府の規制が緩く人々の往来が止まらなければ、ワクチンが完成するまでは今後も新型コロナウイルス感染者数増加が止まらず、被害が拡大する可能性も十分にあるのだ。

  
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