From NY

2020年2月29日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

 ニューヨーク州で、2020年3月1日から小売業者による単発使用のビニール袋の配布が禁止される。わかりやすく言うと、お店で食品や洋服などの買い物をしても品物を入れるビニール袋をくれなくなるということだ。

ビニール袋が禁止されるのを前に、ニューヨークのスーパーではエコバッグが無料配布された(筆者撮影)

 過剰包装だとよく言われる日本の外に一歩でると、包装は実に簡素なものである。アメリカでは基本的に、デパートなどで買い物をしてもビニール製のショッピングバッグにポンと放り込まれる。だが3月からニューヨークでは、そのビニール袋ももらえなくなる。

 「Bag Waste Reduction Law/袋の廃棄物削減法」と呼ばれるこの新しい法律の対象になるのは、州の消費税を徴収する許可証を持っている小売業者全般だ。

 消費者たちは今後、自分のエコバッグ等を持参するか、5セント出して紙製のショッピングバッグを買わなくてはならない。ドラッグストアが処方箋の薬を出す場合、また野菜などを小分けにする小型のビニール袋などいくつかの例外が設けられているが、基本的にビニールのショッピングバッグの配布は今後ニューヨーク州内で禁止となる。

 小売業者が違反した場合は、一度目は警告を受けるだけだが、二度目の違反からは罰金250ドルが課されるという厳しさだ。

 アメリカの中では2016年に施行したカリフォルニア州、オアフ島など一部で施行されてきたハワイに続いてニューヨーク州が3番目になる。この新法の背景は、どのようなものなのか。

環境汚染の原因を削減する

 2017年3月にニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモがニューヨーク州環境保護庁のバジル・セゴスをリーダーとした「New York Plastic Bag Task Force/ニューヨーク州ビニール袋対応委員会」を設立した。この委員会のメンバーたちが、一度だけ使用され廃棄処分となるビニール袋の川や湖など自然環境に与える悪影響について研究報告を何度か重ねた末に、今回のビニール袋の配布禁止令が施行されることになったのだ。

 ニューヨークに限ったことではないが、治安のあまりよくない区域に行くと、街路樹の枝には多数のビニール袋がからまり、歩道にはビニールゴミがからっ風に舞っている。これらのビニール袋がいずれは川に、そして海にと流れていって、生態系に深刻なダメージを与えているのだ。死亡したクジラやウミガメなど海洋生物の胃袋から、びっしりとつまったビニール袋が取り出されるという悲惨な映像が世界各地で報告されている。またビニール袋を製造する過程で生じる環境汚染も、長い間指摘されていた。

 現代社会では、ビニールやプラスチック製品の使用を全てやめるというのは不可能だ。だが手提げ代わりにたった一度だけ使われるビニール袋なら、各自のエコバッグで十分に代用可能だ。実際、筆者が子供のころは誰もが自分の買い物かごを持参して八百屋やスーパーに行ったものである。

 まずはできるところから、環境保護法を改善していこうという試みだ。

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