中国での新型コロナの真相も追及
オープンソース・インベスティゲーションの最も重要な対象が、中国である。オーストラリア戦略研究所は、中国の新疆ウイグル自治区のウイグル族ついて追究している。
調査メンバーのネイサン・ルーサーは、新疆・ウイグル自治区において、中国が「職業訓練施設」だとしている建物の衛星写真を分析した結果、収容所と断定している。
「施設の警備は厳重だ。六重の壁に囲まれたうえに、有刺鉄線がみえる」
中国国内のウエブサイトで、施設の建設の入札条件を探ると、「隔離」「監視システム」という言葉が出てくる。ネイサンによると、新疆・ウイグル自治区でこうした施設は200以上もあり、その数は増えている。さらに、収容者がバスに乗せられて工場労働に駆り出されている様子も確認されている。
世界を揺さぶっている、新型コロナウイルスをめぐる報道のなかで、NYTのビジュアル・インベスティゲーション・チームは、都市封鎖された武漢の実情を伝えるSNSの映像に注目した。マンションの上層階で「助けてくれ!」と叫ぶ女性。防護服を着て、感染者の収容にあたっている医療関係者が「もうだめだ。助けてくれ」という映像などである。
それらの映像が次々に中国の当局によって、削除されていった。しかし、同じ映像が当局の手の及ばないYouTubeやGitHubにあげられていく。当局によって逮捕される可能性もありながら、映像を転送し続けるのか。5人の若者を特定して、彼らの声をNYTの映像ニュースのなかで流した。
チームのプロデューサーは「武漢は4月に封鎖が解除されたが、これからも調査を続ける。いかに透明性をもって追及している。より信頼されるブランドのために」と、語る
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