2024年4月24日(水)

From LA

2020年6月10日

不法移民が劣悪な環境の中で不安な日々を強制されている

 さらに恐ろしい報道もあった。批判にさらされたICEが施設の消毒に乗り出したのだが、収容された人がいる状態で消毒スプレーを噴射した、というのである。5月21日、インランド・コアリション・フォー・イミグラント・ジャスティス(移民の平等を訴えるボランティア団体)が提出した訴状によると、職員が「HDQニュートラル」という消毒液を施設内で噴射し、それに触れた収容者が皮膚に異常を訴えたり、鼻血を出したり、気を失って運び出されたケースが報告された、という。HDQニュートラルは「人体に悪影響があり、直接人体に噴射したり触れたりしないように」という注意書がある消毒液だ。

 ICE側は「人がいる場所で噴射はしていない」と訴えを否定している。しかし訴えが起こされた施設は民営で、ICEが直接管理しているものではない。人に向けて噴射したわけではないが、30分おきに施設内で噴射が行われ、換気も十分でない中で人々は「息もできない」ほどの消毒液の脅威にさらされている、という。

 現時点で収容施設からの死者は確認されていない。一方でICE職員には死亡者も出ている。1人の黒人男性の死に全米が怒りを表明する一方で、多くの不法移民が劣悪な環境の中で不安な日々を強制されている、それに対し怒りを顕にする人は少ない、という事実はもっと広く知られても良いのではないかと思う。

  
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