Washington Files

2020年6月22日

»著者プロフィール
著者
閉じる

斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

「中国はあと4年のトランプ政権継続を望んでいる」

 また同様に、米側でも、今回米大統領選の予備選で一時は、民主党新人候補として話題を集めたピート・ブティジェッジ元下院議員が去る5月2日付のワシントン・ポスト紙に寄稿、「中国はあと4年のトランプ政権継続を望んでいる」根拠として、以下のような注目すべき独自の見解を明らかにしている:

  1. 習近平は就任以来、軍事、経済などあらゆる面でアメリカに追いつき追い越すことを最大目標してきたが、掛け声倒れに終わってきた。しかし、トランプが登場以来、国内外に混乱の種をばら撒いてきた結果、中国側から見て、カオス状態に陥ったアメリカにつけ入るチャンスが拡大してきた。
  2. トランプ政権が移民政策によって、有能な外国人、留学生に門戸を閉ざし始める一方、中国にとって、情報工学、AIなどの分野のグローバルなタレント獲得競争を展開する上で優位に立ってきた。
  3. トランプ大統領は個人的にも、国内人種差別に無関心であるばかりか、中国国内とくにウイグル民族運動などの政治弾圧、人権抑圧に白紙手形を出し、香港抗議運動でも、これを力で抑え込む習近平に理解を示してきた。
  4. トランプは中国と同盟関係にある北朝鮮の金正恩との友情関係を深める一方、アメリカと伝統的同盟関係にある欧州各国、日本との間に貿易、防衛分担などの問題通じ亀裂を生じさせてきた結果、中国がグローバルに権威とパワーを投影させるためのまたとない機会をあたえてくれた。
  5. 中国は、トランプ政権下でこそ、(中国と体制の異なる)自由民主主義それ自体に疑念を生じさせる好機だととらえており、従って「あと4年のトランプ政権」を望んでいる。

 ただ問題は、コロナウイルス危機の深刻化、国内人種問題などをめぐる一連の不手際により、トランプ大統領の支持率が低下の一途をたどりつつある現在、果たして中国側がなお、敗北を承知でトランプ氏テコ入れに出るのか、あるいはバイデン勝利の可能性をも踏まえた上で、万を持して「中立」姿勢を貫くことになるのかどうか、きわめて微妙な段階にさしかかっているとみられる。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る