海野素央の Love Trumps Hate

2020年7月28日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

バイデンは急進左派の「操り人形」

 トランプ大統領は共和党保守本流が「隠れバイデン」支持者になり、彼らの票がバイデン氏に流れるのを最小限に抑えようとしています。

 そこで、トランプ氏はバイデン氏を急進左派の「操り人形」とレッテルを貼り、「急進左派は完全にバイデンをコントロールしている。民主党は我が国を破壊する」と、自身のツイッターに投稿しました。中道左派のバイデン氏と急進左派を結びつける戦略をとっています。共和党保守本流は、急進左派に対して嫌悪感が強いからです。

 さらにトランプ大統領は、西部オレゴン州ポートランドにおける人種差別に抗議するデモに対して、連邦政府の法執行職員を送り、取り締まりに乗り出しました。その際、トランプ氏は抗議デモ隊を無政府主義者、扇動者及び急進左派と呼び、バイデン氏を彼らと同じカテゴリーに入れて議論しています。

 トランプ大統領は急進左派が政権をとると、警察予算は削減され犯罪が増加し、都市は混乱して無政府状態になると警鐘を鳴らしています。「法と秩序」を重んじる共和党保守本流が「隠れバイデン」にならないように彼らをけん制している訳です。

「戦時の大統領」はどこに行ったのか?

 トランプ大統領は当初、自分を新型コロナウイルスと戦う「戦時の大統領」と呼んでいました。しかし大統領から今、その言葉を聞くことはできません。

 バイデン候補はトランプ大統領の新型コロナ対応のまずさに苛立つ共和党保守本流を含めた有権者に向かって、「戦時の大統領は降参して、白旗を振って感染症のパンデミック(世界的大流行)の戦場から逃げ去った」と痛烈に批判しました。

 大統領の役割は、「米国民をケアし、導き、責任をとり、決して諦めないことだ」と強調し、「彼(トランプ氏)は何人感染し、死亡したかについて気にかけない。米国民が亡くなっている。彼らに対する感情移入がゼロだ」と、バイデン氏は非難しました。ちなみに、米国における感染者数は420万人、死者数は14万人を突破しています(7月25日時点)。

 このように「隠れバイデン」票を増やすために、バイデン候補はコロナ対策におけるトランプ大統領のリーダーシップの欠如を指摘し、共和党保守本流の切り崩しを図っています。

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