海野素央の Love Trumps Hate

2020年7月3日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「バイデンの支持率上昇は本物か?」です。米ニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大学(東部ニューヨーク州)の共同世論調査(20年6月8~18日実施)によれば、ジョー・バイデン前副大統領候補の支持率が激戦州6州で上昇し、ドナルド・トランプ大統領との差を広げています。

 激戦州における支持率のリードは、バイデン前副大統領にどのようなアドバンテージをもたらすのでしょうか。また、バイデン氏の支持率上昇は本物なのでしょうか。本稿では、バイデン支持率上昇から何が読み取れるのかについて述べます。

30日、デラウエア州で演説を行ったバイデン氏(AP/AFLO)

注目される主要激戦州6州

 16年米大統領選挙で、トランプ氏は中西部ミシガン州で0.3ポイント差、ウイスコンシン州及び東部ペンシルべニア州で0.7ポイント差の僅差で、ヒラリー・クリントン前国務長官に勝利を収めました。一方、南部フロリダ州で1.2ポイント差、西部アリゾナ州で3.5ポイント差、南部ノースカロライナ州で3.6ポイント差での勝利でした。こちらも接戦でした。

 ところが米ニューヨーク・タイムズ紙とシエラ大学の共同世論調査では、バイデン氏がトランプ大統領をミシガン州並びにウイスコンシン州で11ポイント、ペンシルべニア州で10ポイントも上回っています。加えて、南部フロリダ州で6ポイント、アリゾナ州で7ポイント、ノースカロライナ州で9ポイント引き離しています。

 そこで、前回の大統領選挙でトランプ大統領が獲得した選挙人「306」をベースにして再選の可能性について考えてみます。当選に必要な選挙人は270です。

 ミシガン州(選挙人16)、ウイスコンシン州(10)並びにペンシルベニア州(20)の合計の選挙人は46です。仮にトランプ大統領がこれらの3州を落とすと、選挙人が260に減り、再選が不可能になります。フロリダ州(29)とペンシルべニア州で敗れた場合、選挙人は257になり、トランプ氏の再選の夢は消えます。

 では、仮にペンシルべニア州、ミシガン州、ノースカロライナ州(15)を落とした場合は、どうなるのでしょうか。3州の選挙人の合計は51で、トランプ氏の選挙人は255まで減少し、1期の大統領で終わることになります。

 バイデン前副大統領は主要な激戦州6州全てにおいて支持率でリードしているので、上で述べたような様々な激戦州の組み合わせによって、トランプ大統領が前回獲得した選挙人の切り崩しが可能になります。これはバイデン氏のアドバンテージです。

トランプ敗北を決定づける州

 上の6州で、特に注目すべきはアリゾナ州です。同州は共和党の地盤です。ところが今、変動が起きています。同州でバイデン氏がトランプ大統領をリードしているのです。

 仮に民主党が24年ぶりにアリゾナ州を奪還すると、勝敗を決定づける要因になるかもしれません。

 ただ、バイデン氏は注意を要します。というのは、クリントン氏は16年の大統領選挙で、第3回目のテレビ討論会が終了すると、選挙人11の獲得を目指してアリゾナ州を訪問し、その代わりに大接戦になったミシガン州を訪れませんでした。それが裏目に出ました。従って、バイデン氏も色気を出すと、思わぬ落とし穴に嵌るかもしれません。

 さてトランプ大統領は2月19日、アリゾナ州の州都フェニックスで大規模集会を開催しました。筆者はこの集会に参加しました。

 その後、新型コロナウイルス感染拡大のため集会は一時中断しましたが6月24日、トランプ氏は再度同州に入り集会を開きました。アリゾナ州の支持率でバイデン氏にリードを許していることに、トランプ氏は苛立ちを覚えています。

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