2024年3月1日(金)

Wedge REPORT

2020年8月3日

そろそろ考え直すタイミング

 大相撲の公傷制度に反対する意見の中には「ケガや病気を含めコンディションの維持も力士の〝技量〟の1つ」とする考え方もみられる。ドラスティックな主張だけに抵抗を持つ人もいるだろうが、群雄割拠の相撲界において白黒の勝敗を全てとし〝土俵に立って勝つこと〟のみに徹底する絶対主義を貫くならば一理あるかもしれない。

 とはいえ、年6場所制と、その合間に地方巡業が組み込まれるハードスケジュールについては「アフターコロナ」の未来像も頭に入れつつ、そろそろ考え直すタイミングに来ているのかもしれない。新型コロナウイルスの感染拡大によって本場所は5月場所が中止。そして地方巡業も今年はすでに中止となった春、さらに今後の秋、冬とすべて開催されないことになった。もちろん楽しみにしている人たちにとっては残念なことだが、これまでタイトな日程によってコンディション不良との戦いにさいなまれながら土俵に立ち続けなければならなかった力士たちには〝追い風〟となっているところもあるような気がする。

 この7月場所で照ノ富士が幕内最下位ながら優勝を果たし、加えて幕内下位の前頭11枚目・栃ノ心、前頭13枚目・高安は2けた勝利を数え、前頭15枚目の琴奨菊も千秋楽で勝ち越した。この4力士は大関経験者だ。照ノ富士以外の3力士は3月場所で負け越しや途中休場によって黒星先行となったものの、今場所は揃って勝ち越し。そう考えると3月場所後から4月にかけての春巡業、そして5月場所が相次ぐ形で中止となったことも当該力士たちのコンディション回復にも好影響を与えたのではないだろうか。

 いずれにしても、照ノ富士の「史上最大の復活劇」はコロナ禍で暗く嫌なことばかりの我々にとって勇気と感動を与えてくれるグッドニュースであり、いい意味で相撲界の今後の在り方についても一石を投じるインパクトになったと思う。

  
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