2022年12月8日(木)

WEDGE REPORT

2020年10月7日

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大統領と同じ医療が受けられるのか

 大統領の「ウイルスを恐れるな」といった一連の発言は、国民の間に“ウイルスの危険性を軽んじてもいい”という誤ったメッセージを与えかねず、著しく不穏当だと言えるだろう。ペンシルベニア大学の専門家は「狂気の沙汰」(米紙)と批判している。

 しかも、大統領が受けたような最高レベルの治療を一般国民が受けることができるわけがない。大統領は未承認の抗ウイルス薬も投与されたが、治療を受けられずに亡くなった家族の反発は激しい。フロリダを遊説中のバイデン氏は大統領の発言に対し、「科学者の意見に耳を傾け、連邦政府ビルの中でのマスク着用を指示すべきだ」と要求した。

 バイデン氏はトランプ大統領が選挙戦から不在の間、支持率を伸ばしている。世論調査によると、国民の65%は大統領がもっとウイルスに気を付けていれば、感染しなかっただろうと考えており、大統領のコロナ軽視に厳しい。大統領感染後のNBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同調査では、53%対39%で、バイデン氏が支持率の差を14ポイントまで拡大した。

 こうした中、マスクをしてこなかった大統領の側近や友人らの感染は増える一方。5日にはマクナニー大統領報道官や副報道官らの感染が新たに確認され、ホワイトハウス詰めの記者団の間にも動揺が広がっている。ホワイトハウスが中心となった感染者は大統領夫妻ら17人になった。

 感染源は先月26日にホワイトハウスで行われたバレット最高裁判事の指名式典の場だったことが濃厚。17人のうちの11人がマスクをせずに式典に参加していた。だが、ホワイトハウスは感染源の調査はしない方針で、専門家は「完全な責任放棄。公衆衛生上の大きな脅威だ」と厳しく批判している。

 トランプ大統領は退院前の4日のビデオメッセージで「新型コロナウイルスについて多くのことを学んだ。学んだことを伝えていこうと思う」と語った。だが、6日早朝のツイッターでは「インフルエンザでロックダウンになるか?」などと述べ、再びコロナウイルスを軽視するような姿勢を示した。何を学んだのか、大統領に聞きたいところだ。

  
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