2023年2月7日(火)

From LA

2020年10月9日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

ベゾズ氏の豪邸周辺でデモ

 10月4日、カリフォルニア州ビバリーヒルズではベゾズ氏の豪邸の周囲での抗議デモが行われた。このデモを組織したのは3月にステッタン島の職場放棄で解雇されたクリス・スモールズ氏で、これにアマゾン従業員やカリフォルニア州の環境団体などが賛同した形で大掛かりなデモとなった。

 当日はビバリーヒルズの公園でのスピーチ、ベゾズ氏の豪邸周辺でデモなどが行われ、ビバリーヒルズ市は一時交通を規制するなどの対応を迫られた。抗議の内容は「アマゾンがコロナ感染者の数などを公表し透明性を持つこと、また感染者が出た施設はただちに閉鎖、消毒などを行い、少なくとも14日間は閉鎖を続け、その間従業員には通常の報酬を支払うこと」など。

 これに加え、従業員に危険手当として時給に2ドルを上乗せすること、コロナのPCR検査を受け結果待ちの従業員に疾病による有給休暇を認めること、さらに連邦政府に対しても「1-3%の富裕層への課税を行うこと、無償の保育所や国民健康保険の提供」も求めている。

 抗議デモに環境団体が加わった理由は、ベゾズ氏やイーロン・マスク氏、マーク・ザッカ―バーグ氏らの富裕層は地球温暖化に対し彼らの「正当な負担」を行うべき、という主張があるためだ。ベゾズ氏の収入は1秒間に4000ドルとも言われ、それだけの収入を得る人間が従業員に無償の健康保険、子供への保育、最低時給30ドルを保証するのは当然の義務である、と抗議デモは訴えた。

 ところでデモでは「秒給」4000ドル、とされたベゾズ氏だが、実際のアマゾンから受けている年収は8万ドル台だ。その資産のほとんどはアマゾン社の株によるもので、今年アマゾン株が40%も上がったことでベゾズ氏の資産は一時2000億ドルを突破した。2018年以降3年連続で世界一の富豪の称号を得ている。

 バイデン大統領が実現すれば富裕層への課税が実現すると思われるが、米国社会の不平等さへの不満はアマゾンへの反感が象徴するように、今や最高潮に達している。トランプ大統領は退院後に「我が国では最高の医療が受けられる」と語ったが、これだけ感染者が多い理由は健康保険を持たず医療機関を訪れることが出来ない人々がいるためだ。大統領が主張する最高の医療を受けられる人はほんの一握りなのである。米国の分断はますます進んでいる。

  
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