海野素央の Love Trumps Hate

2020年10月16日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「社会主義者―サンダーズ―バイデン」

 新型コロナウイルスから復活宣言をしたトランプ大統領は早速、激戦州フロリダ州を訪問し、支持者を集めた大規模集会を開催しました。同州の選挙人は「29」です。トランプ氏は激戦州における「ツボ」を正確に抑えており、各州に合わせたメッセージを発信します。

 例えば、フロリダ州の集会では「バイデンはカストロ(元議長)の大ファンだ」と語気を強めました。その意図は、同州の「反カストロ」及び「反社会主義」のキューバ系米国人の票の獲得です。

 バイデン氏と民主党予備選を戦ったバーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)は、カストロ元議長を称賛したので、フロリダ州のキューバ系コミュニティの間では社会主義者とみられており不人気です。バイデン氏は前回の米大統領選挙でクリントン元国務長官が獲得できなかったサンダース氏を支持する左派の票を狙っています。

 トランプ氏はそこに目をつけました。社会主義者、サンダース氏及びバイデン氏を結びつけて、「バイデンは(社会主義者の)サンダースの操り人形だ」と訴え、「バイデンは社会主義者だ」と言い切りました。

 さらに、フロリダ州での集会でトランプ大統領は「私は常にプエルトリコの見方だ」と語気を強め、プエルトリコ自治連邦区の知事から支持を得たと強調しました。プエルトリコ系米国人の票を狙っているバイデン陣営に対して、切り崩しを図ったのです。

バイデンのお膝元―ペンシルべニア州

 トランプ大統領は13日にペンシルべニア州を訪問し、大規模集会を開催しました。激戦州ペンシルべニア州の選挙人は「20」です。同州では、石油、天然ガス及び石炭の採掘産業と環境活動家の対立が争点です。トランプ大統領は雇用の確保を重視して、全面的に採掘に賛成しています。

 一方、バイデン前副大統領は連邦政府が管理する土地に限り、採掘を禁止しています。つまり、実際は部分的反対なのですが、トランプ氏は「バイデンは採掘に反対だ」と、全面的反対のようにみせかけて繰り返し批判しています。そこで、バイデン氏は1回目の大統領候補によるテレビ討論会において、「私は採掘禁止に賛成ではない」と明言しました。

 周知の通り、ペンシルべニア州はバイデン前副大統領のお膝元です。労働者の街「スクラントン」で生まれたバイデン氏は「スクラントン対パークアベニュー」という対立構図を作って選挙を戦っています。自分は労働者の見方であり、トランプ大統領はニューヨークのパークアベニューに住む超富裕層を代表していると訴えました。

 これに対してトランプ氏はペンシルべニア州で、「バイデンはペンシルべニアを見捨てた」と反論しました。バイデン一族は東部デラウエア州に移ったからです。この件に関してバイデン氏は、「父親が失業し、デラウエア州で職を見つけたからだ」と説明しました。

 10月22日に行われる2回目の大統領候補によるテレビ討論会では、トランプ・バイデン両候補はペンシルべニア州を巡って討論を交わす場面が出てくるかもしれません。

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