2024年4月26日(金)

使えない上司・使えない部下

2020年10月26日

競合社とは、戦わないことが大切です

 社内では「使える、使えない」といった言葉は使わないようにしています。実際は、安心して仕事を任せることができる任せられるベテラン社員がいれば、まだ頼りない若い社員もいます。私は、担当の仕事を責任を持って最後までやり遂げてくれる人が何よりありがたい。あらゆる仕事が様々な部署や社員が何らかの形で関わっているのです。

 それに対し、最後まできちんとできる人は、仕事に取りかかる前に事前の準備をよくできている傾向があります。同じ仕事を担当する他の人よりも早くに準備に取りかかり、深いところまでします。納期が近づいてきて、バタバタするタイプは少ない。大切なポイントを素早く、理解しています。理解力が深い。みんなが同じタイミングでスタートしたとしても、その人の進んでいくスピードが他よりも速く見えます。

 例えば、広報の女性社員はそういうタイプでしょうね。大切なところをよく心得ているんです。私にもズバズバと言ってきます。当初は少々たじろぐこともありましたが、今は慣れました。私も目が覚めるのです。軌道修正が早くできるようになります。彼女たちの言っていることが正しい場合が少なからずあります。結果として、よいものが出来上がることが多い。

 社員たちの接し方で特に気をつけているのは、「今、仕事はどんな状況なの?大丈夫?」と機会あるごとに声をかけること。ここで手を抜いてはいけない、と思っているんです。うちの会社は、サラブレッドの社員がそろっているわけではないのです。大きな会社でも、1000人の社員がいるならば全員がサラブレッドなんて無理だと思う。だからこそ、私は部下を持つ立場の人は付かず離れず常に見守ってあげることがとても大切だと思います。

 最近は、プレイング・マネージャーの管理職が増えてきました。プレイヤーをしながら、マネージャーをするのは確かに難しいはずです。管理職がひとりで仕事や悩みを抱え込まないようにすることが必要でしょうね。例えば、課長がプレイング・マネージャーならば、部長が見ていてあげてほしい。「誰かに気にしてもらっている」と本人が感じるようにすることが大事。「大丈夫?」と声をかけてあげるだけでも、違うんじゃないでしょうか。そういう中からやりとりが生まれ、仕事の分配をする必要性に気がつくかもしれません。

 会社の売上や社員数で言えば、私たちが競う清涼飲料水製造や酒類製造メーカーは戦艦大和みたいな大きさです。私たちは、公園のボートぐらいでしょうか…。「ライバル」と言った言葉を使うのは、おこがましいですね。それでも、社員やその家族の生活を守らなければいけない。取引先やお客さんにもご迷惑をかけてはいけない。それが、私の仕事。大変なことですが、生きがいややりがいでもあるんです。

 競合社とは、戦わないことが大切です。戦えるはずもないんですが、戦わないことは難しい。そのためには考えないといけないのです。まずは、私たちができる範囲で無理をせずに、経営が細く長く続き、皆さんの雇用や生活を守るようにしていきたい。1980年から40年続くハイサワーのファンを大事にしたい。お客さんとの関係も細く長く、会社の経営も細く長く続くようにしたい。社員が短い期間で一気に思い詰めて仕事をするようなことは避けたいのです。長く働き、活躍してもらえるようにしていきたい。これが、中小企業の1つの戦い方だと思っています。

●博水社ホームページ
http://www.hakusui-sha.co.jp/

  
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