WEDGE REPORT

2020年11月18日

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山田敏弘 (やまだ・としひろ)

国際ジャーナリスト

講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本誌などを経て、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の客員研究員として国際情勢やサイバー安全保障の研究・取材活動に従事。近著に『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)、『サイバー戦争の今』(ベスト新書)。

バイデンは「失言マシーン」!?

 今回の選挙では、こうした疑惑以外にも、トランプがバイデンについて「攻撃」を繰り返したことがある。バイデンの失言である。終盤の遊説では、トランプは必ずバイデン叩きのビデオを会場のビッグスクリーンで流していた。

 例えば、バイデンは、大統領選を「上院議員選」と言い間違えたり、トランプの名前を「ジョージ」と間違えたり、州の名前を間違っていたり、コロナで20万人死亡と言うところを2億人と言い間違えたりしている。そうした姿を切り取り、集めた動画をトランプは得意げに披露した。

 もっとも、バイデンの過去を振り返っても、実はバイデンの失言癖は有名だった。バイデン自身も2017年の自叙伝で自分は「失言マシーン」であると自虐的に書いている。有名な話では、2008年には「オバマは、言葉が明瞭で輝いていて、クリーンで、見た目もいい初めての黒人だ」と失言。2020年3月には、「バイデンに入れないなんて黒人じゃない」とも語って謝罪している。

 また2008年に、聴衆にいる車椅子の州議会議員に対して、「顔が見えないから立ってくれ」と話して失笑を買っている。2006年には、自分の地元デラウェア州ではファストフード店やコンビニは「インドなまりの英語ばっかりだ」と述べている。こうした発言は枚挙にいとまがない。

 バイデンがこうした発言をしていることを、意外に感じる人もいるかもしれない。だがバイデンの政治家としてのキャリアを振り返っても、お世辞にもバイデンは「心清らか」な政治家ではなかった。何も失言が多いのはトランプばかりではない。

ワシントンの至る所に設置されたバイデンとハリス支持のポスター

経歴の嘘も連発

 バイデンの政治家としてのキャリアは47年になる。1942年にペンシルベニア州の中流層の家庭に生まれたバイデンは、デラウェア大学からシラキュース大学の法科大学院を卒業。「私は(東海岸の伝統的私立エリート校グループである)アイビーリーグの出身ではない」と庶民派であることをアピールしている。

 成績はいまいちだったが、卒業後は弁護士として働く。その後、郡議会議員になってから連邦上院議員に初当選。72年の当選から就任までの期間に、事故で妻と娘を失い、以降は生き残った2人の息子を育てた。77年には現在の妻であるジルと再婚し、娘をもうけている。

 上院議員として、これまで3度、大統領選に挑戦してきた。今回は3度目の正直で当選したことになる。2度目は予備選で飛ぶ鳥を落とす勢いだったバラク・オバマ前大統領に敗れ、代わりに副大統領候補となり、オバマ政権に入った。

 実は87年に初めて大統領選に出馬した際のバイデンは、惨憺たるものだった。当時から失言は変わらず、遊説中に質問した有権者に「私は君よりもIQはかなり高い」とキレた姿も残っている。また、法科大学院時代は成績優秀だったと話していたが、それが嘘だったことがばらされた。さらに公民権運動で活動家たちと一緒に数多くの行進に参加したと主張していたが、それも嘘で参加したことはなかった。極めつきは、スピーチを行った際の内容が、国外の政治家などから完全に盗用したものだったことが指摘され、「過ちだった」と詫び、選挙から撤退した。

 その後は2008年の2度目の大統領選挑戦まで、上院議員として、上院司法委員会や外交委員会で活躍した。

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