2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年11月18日

バイデンの「技」

 大統領選挙と同時に行われた上院選では民主党が期待されたほど、議席数を伸ばすことができず48議席(無所属を含む)に止まっています。来年1月5日、南部ジョージア州で2議席を巡って決戦投票が実施されます。

 仮に2議席を落とした場合、バイデン次期大統領はどのような対策をとるのでしょうか。米議会を迂回して大統領令を発令し、パリ協定の復帰及び、ダカ(DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals)と呼ばれる若年期に入国した不法移民の若者に対する強制退去処分の猶予をする公算が高いといえます。

 さらに、バイデン次期大統領には優れた「技」があります。バイデン氏は上院議員時代、故ジョン・マケイン上院議員(共和党・西部アリゾナ州)と協力してきました。同様に、同氏は超党派を目指して、共和党中道穏健派とコミュニケーションをとり、落としどころを探っていくでしょう。これが同氏の政治スタイルです。

 バイデン次期大統領は上院選で勝利したスーザン・コリンズ上院議員(共和党・東部メイン州)に、早速お祝いの電話を入れました。コリンズ氏は、「彼(バイデン氏)が成功することを望んでいる」と肯定的な発言をしています。

 リサ・マコウスキー上院議員(共和党・西部アラスカ州)及びミット・ロムニー上院議員(共和党・西部ユタ州)とも協働して、バイデン氏は法案の成立を目指す可能性が高いでしょう。つまり、ジョージア州で2議席を奪われても、上の3人の共和党上院議員の内、仮に2人がバイデン側につけば「50対50」になります。

 そうなれば、カマラ・ハリス次期副大統領が上院で票を投じて、「51対50」になり、バイデン氏の思惑通りに事が運ぶケースが出てくるかもしれません。


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