海野素央の Love Trumps Hate

2020年11月21日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「トランプ・バージョン」の敗北宣言

 仮にトランプ大統領が敗北宣言を行うならば、これまでの大統領の宣言とは異なったバージョンになるでしょう。いわゆる「トランプ・バーション」の敗北宣言です。

 第1に、トランプ氏は敗北を臭わせるような演説をして、明確に認めることはしないはずです。スピーチライターは、トランプ氏の気持ちを推し量って、明確な敗北だと解釈できる演説を書かないでしょう。

 第2に、演説の代わりに自身のツイッターで敗北宣言をする選択肢もあります。ただし、この場合も玉虫色の内容の投稿をする公算が高いです。

 第3に、バイデン陣営に「敗北宣言と恩赦」のディールを仕掛けても、全く不思議ではありません。民間人になるトランプ氏には様々な疑惑が存在するからです(『トランプ最後の悪あがきとは?』参照)。

 第4に、敗北宣言を行わないで、ホワイトハウスを去ります。しかも、来年1月20日の大統領就任式に参加しないで、支持者にバイデン氏が不正で勝利をしたという印象を与えます。

 ただ、トランプ氏がこの選択肢を選べば、民主党員、無党派層のみならず、一部の共和党員からも非難を浴びることは必至です。従って、逆効果になる可能性が高いと言えます。

「支持応援と恩赦」のディール

 第5に、敗北宣言に代って2024年米大統領選挙への「出馬宣言」を早々と行います。

 このメリットは、次の大統領選挙の候補と目されている共和党候補をけん制できます。候補には、南部アーカンソー州のトム・コットン上院議員、ニッキー・ヘイリー元国連大使、マイク・ペンス副大統領及びマイク・ポンぺオ国務長官等の名前が挙がっています。彼らはトランプ氏の今後の言動に注視していくに間違いありません。

 加えて、トランプ氏は出馬宣言をすることで、同氏に投票した7200万人の士気を維持できます。仮に、24年に出馬しない場合、トランプ氏は上の候補と「支持応援と恩赦」のディールをする公算が高いです。

 一方、デメリットは、敗北宣言をせずに出馬宣言をすれば、無党派層及び一部の共和党員がトランプ氏から一層離れていくでしょう。

 選挙人「306」を獲得したバイデン氏の勝利が確定したのにもかかわらず、トランプ大統領は「私が勝利をした」と複数回にわたって自身のツイッターでつぶやきました。トランプ氏が、今のところ公の場で敗北宣言をする姿は想像できません。

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