2022年8月14日(日)

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2021年1月21日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

昨年10月にPRチームを解散

 なかなか興味深いポジションだが、実はこのようなカスタマーサービスを雇用せざるを得ないのは、テスラが昨年10月にPRチームを解散させてしまったからだ。広報がない、すなわち「メディアに対して語る部署がない」初めての自動車メーカーとなった。

 実は昨年夏頃からテスラの広報部に問い合わせをしても全く返答がない、という不満がメディアの間にくすぶっていた。元々それほど熱心に広報活動をする企業ではないが、問い合わせに対し何カ月も放置、というのはなかったことだ。実際にはその頃から広報がまともに機能していなかったということになる。

 同社の内部事情に詳しい人物によると、ほとんどの広報担当者は部署替えになった、もしくはすでに退社している。広報で最後まで対応していた女性社員は、昨年12月に退社して人工肉のメーカー、インポッシブル・フーズに転職したという。

 マスク氏が広報をなくした理由は、度々メディアにひどい取り上げられ方をしたからだ、という見方がある。前大統領のように「フェイクニュースだ」とまでは言わないが、一部メディアに対する不信感は強かった。それならばメディアと関係を持つ必要はない、とマスク氏が短絡的に考えた、というのである。

 元々テスラの広報人数は非常に少なかった。テスラは宣伝広告を行わないし、マスク氏がインタビューなどに応えることも稀だ。しかしすべての自動車メーカーの中で、テスラほどニュースになる企業もない。

 これまではニュースになるというそのことがテスラの宣伝にもつながっていた。しかし当然そこにはネガティブなものもある。だからと言ってメディアとの関係を断ち切り、マスク氏のツイートだけがテスラに開かれた窓、というのでは大企業として苦しいものがある。そこでマスク氏を擁護し、問題は解決し、さらに話題作りも行う、という難しいがそれなりに興味深い仕事が新たなスペシャリストなのだろう。

 しかし、メディアからの問い合わせに一切答えず、返答を求めるためにはマスク氏のツイートをフォローするしかない、というのはテスラにとっても危険な賭けだろう。マスク氏がすべてを把握するにはテスラは大きくなりすぎている。昨年からリコールも相次ぎ、品質管理には疑問の声も出ている。

 こうした世間の疑問に広報を通して答えず、どの方向に行くかわからないマスク氏の意見しか出てこない、そんなやり方がこの先通用するのか。サポートスペシャリストは一体どのように様々な問題に対処していくのか。広報なき企業の生き残り戦略は興味深いがやはり危なっかしい。

  
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