私たちは、変わりにくいところを見たい
志をともにするためにも、価値観が合うか合わないかが大切です。誰もが過去にいろいろな判断をしています。例えば、受験や職業選択の際に何らかの判断したはずです。それに正しい、間違いはないと思いますが、その人が大切にしている価値観が必ず、何らかの形で影響しているはずです。だからこそ、「どういう考えで、なぜ、そのように判断したのか」をお聞きしたい。それを丁寧に伺うと、大切にしていることが見えてきます。
私たちは、合う・合わないも大切だと考えています。そのために自社の採用において相互に変わりにくいところを中心にすり合わせたいのです。他の会社と同じく、エン・ジャパンの事業は時代や市場、環境の変化に伴い、変わっていきますが、会社としての価値観はぶれません。だからこそ、面接でせっかく時間をいただいた求職者の価値観を理解しあいたいのです。エン・ジャパンが大切にしていることがみなさんのそれと重なるかどうか…。求職者の方の大切にしていることを同じように私たちも大切にできるか。変化の激しい時代だからこそ、特に言えることだと思います。
メンバーに人として向かい合うことこそが大切
メンバーがパフォーマンスを出すことができないならば、役員や管理職は、戦略はもちろんのこと、育成や向き合い方において変わらなければいけないのです。担当する仕事、配置、頼み方については、特に考える必要があります。行動と結果は、必ず一致します。狙った成果が出ない理由は、何をすれば成果が出るのかがわからないのではなく、行動がとれていない場合が多いのです。
だから上司は、うまく変われるようにメンバーの感情に寄り添うことが大事だというのが私の持論です。
上司がメンバーに「あなたは、これが課題だからまずはこれをしなさい」と言ったとします。しかし、懸命にがんばりながらも、その課題ができていない。現状から変わることができないから、課題の前で苦しんでいます。その時、「これをしなさい」では回答になっていないのではないでしょうか。感情にこそ寄り添っていかなければいけないのです。
私自身、メンバーの感情に寄り添うことが常に100%できているとは思っていません。私は、メンバーに「エン・ジャパンはすべての人に成功は提供できないけれど、成長は提供できる」とよく伝えています。
例えば、MVPの表彰式で、組織として高い成果をあげた女性の管理職を表彰しました。彼女は、なかなか成果があがらなかったメンバーと1対1の面談を粘り強くしていました。それだけでなく、表情にまで気を配り、細かいところから感情を読み取ろうとします。ふとした瞬間に見せた表情から、ある行動へのためらいや気にかかっていることを察したのです。このように気持ちに寄り添ったうえで、背中を押しました。その結果、メンバーは行動を変えて成果を出すことができていました。
その人が発した言葉ではなく、その裏側にある気持ちに寄り添うことが大切だと私は思うのです。