使えない上司・使えない部下

2021年1月28日

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 今回は、転職支援を行うエン・ジャパン執行役員の沼山祥史 (ぬまやま やすし)さんに取材を試みた。2005年に入社し、中途採用支援サービス『エン転職』を企業に提案する営業部に配属。入社3年目でマネージャー(課長職相当)に着任。新規事業の立ち上げを担った後、2012年に人事の責任者として新卒や中途の採用や人事制度の再構築、人事労務、社員教育に関わる。

 M&Aをした国内外関連会社のPMIなど、急拡大するグループ会社の人事領域に携わる。2015年に、派遣会社支援事業部の事業部長に着任し、『エン派遣』の成長を牽引する。2018年に執行役員に就任。2019年から人材紹介サービス『エン エージェント』の責任者を務める。

 沼山さんにとっての「使えない上司、使えない部下」とは…。

(alphaspirit/gettyimages)

 How to live→How to learn→How to work→How to influence

 「使える、使えない」といった言葉は、エン・ジャパンでは聞いたことがありません。個々のメンバー(社員)を言わば機能的に見て、その一瞬や期間において判断することはしていないのです。当社では仕事をともにしていくうえでの価値観がわかちあえるどうかを大切にしています。

 私が転職サポートをしたミドル層の方で、今も強く印象に残っているものがあります。40代前半の男性が100人程の会社の管理部門に勤務していたのですが、同じ業界で同規模の会社に転職し、管理部門の責任者をすることになりました。ところが、しだいに業績不振となり、経営危機になってしまいました。ほかの役員たちが退職をするなか、男性は社長と一緒に体制を刷新し、危機を乗り越えます。功績が認められ、信頼され、入社して2年後に役員となりました。

 この方がうまくいった理由は、いくつかあります。1つは管理部門の責任者として入社しながらも、営業を学ぼうという姿勢があったこと。営業部員と一緒に現場に何度も行ったようです。エン・ジャパンでは、中途入社者の定着や活躍をサポートするために、How to live(職場に適応する)→How to learn(知識・スキルを学ぶ)→How to work(仕事で成果を出す)→How to influence(組織や他者に影響を与える)の順番を大切にするという考え方があります。

 会社からの期待に応えようとするがあまり、最初に How to Influence をしようとする人がいます。例えば、以前に勤務した会社のよいところを転職先の職場で話したり、転職先の悪い部分を指摘したりします。先ほどの男性はそのことを心得ていて、まずは転職した会社の大切にしているものを謙虚に学んだのだと思います。

 何かを成し遂げたい時、謙虚であることはとても大切です。転職においては、内定となる方は何かしら必要とされる優れた部分を持っています。しかし、成果を出そうと急ぐと、受け入れる側は自分たちを否定されていると捉える場合があり、うまくいかないことが多々あります。周りの人に「この人には協力したい」と感じてもらうようにしないと、パフォーマンスはなかなか上がらないと思います。自分が大切にしていることを周囲からも大事にしてもらえなくなるのではないでしょうか。 

 面接は、信頼関係を構築する入口の段階と言えます。必要以上によく見せようとして虚勢を張り、事実を捻じ曲げると、入社後、会社との関係はうまくいきません。大切なのは、企業も求職者もお互い正直で、誠実であることです。例えば、「前職ではここは高いパフォーマンスでしたが、このあたりは苦手で頼れるメンバーに任せていました。入社後のミッションに含まれるのであれば、こんな具合に補っていきたい」と話していただければ、その人の適性や今後の活躍を判断することができます。企業側も、自社の問題点は伝えたほうが良いと思います。入社前のこのようなやりとりが、誠実な関係づくりの始めの一歩になります。

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