2025年3月20日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月18日

 2月28日のトランプ・ゼレンスキー会談の決裂を受けて、3月2日のロンドンにおける欧州の首脳会議で善後策が話し合われたが、英国とフランスを中心にウクライナとも協議して停戦計画を策定し、その上で米国と協議することで合意したことをフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。主要点は次の通り。

欧州の首脳会談で、ウクライナのゼレンスキー大統領(左)、英国のスターマー首相(中央)、フランスのマクロン大統領(右)らが戦争の停戦協議について話し合った(代表撮影/ロイター/アフロ)

 3月2日のロンドンでの首脳会議の後、英国のスターマー首相は、ホワイトハウスにおけるゼレンスキーのトランプとの激しい口論を受けて、欧州はゼレンスキーのために仲介者として介入すると述べた。

 スターマーとフランスのマクロン大統領は、ウクライナの停戦を確かなものとするために展開する欧州の「有志国」の部隊に対して米国が庇護を提供することとなる取引を考えている。スターマーは欧州が「力仕事をせねばならない」が、それには「米国の後ろ楯を得なければならない」と述べた。

 マクロンはフィガロ紙に、彼とスターマーが「空、海、およびエネルギー・インフラを対象とする」ロシアとウクライナの間の1カ月の当初の停戦を提案していると語った。マクロンは、このアプローチにはロシアの意図を検証出来る優位性があり、陸上の前線全域にわたる停戦を監視するよりも容易であると述べている。

 スターマーは、停戦が合意されれば英国は陸上部隊を派遣すると述べている。空、海、インフラを対象とする1カ月の停戦は双方の信頼を確立する上で助けとなろう。

 欧州の和平計画の二つ目の鍵は、ウクライナの鉱物資源から得られる収入の一定のシェアを米国に提供する取引にゼレンスキーが署名することであり、これにより米国を和平の経済的な利害に関与させることになる。トランプは2月28日にワシントンでゼレンスキーがこの合意に署名することを望んでいた。

 英国のマンデルソン駐米大使はゼレンスキーにこの取引に署名するよう強く求めるとともに、欧州の指導者に和平の仲介のための「トランプのイニシアチブに疑う余地のない支持」を与えることを要請している。


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