2025年3月17日(月)

未来を拓く貧困対策

2025年3月17日

 2024年の子どもの自殺者数(暫定値)が527人と過去最多となった。25年1月31日、政府は関係省庁連絡会議を開き、対策に乗り出した。大人の自殺は減少傾向なのに対して、子どもの自殺は増加傾向にある。なぜ、子どもの自殺は増えていくのか。決め手となる対策はあるのか。背景を探っていくと、政策立案に必須となる基礎データさえ不足している現実がみえてきた。

(Jatuporn Tansirimas/gettyimages)

「子どもの自殺過去最多」の衝撃

 25年1月29日に公表された警察庁・厚労省の自殺統計によると、24年の子どもの自殺者数は前年の513人を上回り、暫定値で過去最多となる見込みであることが明らかになった。小中高生の子どもの自殺者数は増加傾向にある(図1)。

 なかでも、特に増加が著しいのは女子中高生である。男子学生が横ばいないし減少の傾向がみられるのに対して、女子中高生は増加傾向にある(図2)。

 こうした事態を重くみた政府は、1月31日に、関係省庁の知見を結集し、総合的な施策を推進するために「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」を開催した。構成員は、内閣府、警察庁、こども家庭庁、消防庁、法務省、文科省、厚労省の8つの組織の幹部職員である。

 この会議自体は、23年4月から設置されており、1月31日は第8回の開催となる。既に2年前から子どもの自殺に政府は危機意識をもっており、対策の検討が進められてきた。にもかかわらず、なぜ過去最多を更新し続けるのか。

 自殺対策の先頭にたってきたNPO法人自殺対策支援センター ライフリンク代表の清水康之さん(53歳)はいう。

 「日本では子どもの自殺に関する基礎データの把握さえ十分には行われていません。自殺の実態把握なしに、子どもの自殺対策を推進するのは無理があります」


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