民主、動画作戦で扇動を印象付け
弾劾の勢いが失速している状況に、これまで弾劾と距離を置いてきたバイデン大統領も業を煮やしたのか25日、新政権の政策課題などに支障が出るようになっても、「弾劾裁判は開かれなければならない」とCNNに語った。大統領からカツを入れられた格好の民主党だが、検事役の下院議員団(9人)はトランプ氏の“容疑”を明確にするため、証拠として事件当日の動きを動画にまとめて提出する計画だ。
ワシントン・ポストによると、その狙いは事件の重大性や深刻さが薄れつつある中、トランプ氏の支持者らを扇動する言動や、それに感化された暴徒が議会に乱入する生々しいもようをあらためて再現することにより、共和党の上院議員らにトランプ氏の行為が見過ごされてはならないことを思い知らせるためだという。
民主党議員団はさらに、実際に議会に乱入した暴徒や、トランプ氏の集会に出ていた人間を証人として呼ぶことも検討している。今回裁判長役を務めるのは最高裁長官ではなく、上院最古参のレーヒー議員(民主党)と伝えられている。憲法では、大統領、副大統領を弾劾する際に最高裁長官が裁判長を務めることが記されているが、退任大統領を含めた他の人間を弾劾する際の裁判長については明確ではない。
トランプ氏は弾劾裁判の行われている間は南部フロリダ州パームビーチの私邸マール・ア・ラーゴに滞在する予定で、25日にはフロリダ州に「前大統領事務所」を開設した。政治活動を続行することで影響力の維持・拡大を狙っていると見られている。
米メディアなどによると、トランプ氏は選挙で自分に逆らった南部ジョージア州知事や下院本会議での弾劾に賛成票を投じた共和党議員10人らへの政治的な報復を検討する一方、自分に尽くした人物には報いる考え。そうした考えから、政権の報道官で、このほど南部アーカンソー州知事に立候補したサラ・サンダース氏に対しては、早くも支持し、お墨付きを与えた。
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