経済の常識 VS 政策の非常識

2012年9月18日

»著者プロフィール
閉じる

原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 政府は脱原発をしたくないようであるが、そのための理屈付けは再生可能エネルギーが高く付くことである。

 これは奇妙なことである。脱原発のコストは、本来は原発を火力に置き換えるコストである。ところが、原発を再生可能エネルギーに置き換えないといけないとして、脱原発のコストをとてつもなくコスト高に見せている。

 私は、CO2を削減しないといけないという議論は、原発促進派が支持することによって強力になったのではないかと憶測したくなる。

 そうは言っても、CO2を削減しなければならないし、海外のエネルギーに依存していて良いのか、原発がなければ核技術を維持できないという議論もあるかもしれない。

 まず、CO2をどうしても減らす必要があるなら、日本で減らさなくても、地球全体で減らせばよい。幸か不幸か、日本のまわりには中国やロシアのようにエネルギー効率が悪くてCO2を大量に排出している国がある。これらの国に技術援助してCO2排出量を減らせば、地球全体ではより低いコストでCO2を減らせる。

 何で中国やロシアに援助をするのかという方もいるかもしれないが、援助しないで高いエネルギーを使えば、日本の国力を低下させるだけだ。

 海外のエネルギーに依存しないために原発を使うとしても、電力の25%しか賄えない。他のエネルギーはどうなるのだろうか。最後の核技術だが、北朝鮮はおもちゃみたいな濃縮工場で核開発をしている。どうしても必要なら、原発を一つだけ残しておけば良いのではないだろうか。

 日本経済は、脱原発では大きな打撃を受けないが、再生可能エネルギーに転換することで大きな打撃を受ける可能性があるという結論は変わらない。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

編集部おすすめの関連記事

関連記事

新着記事

»もっと見る