政権を存続させた罪
シリア難民の多くは彼ら自身のことを話すのを怖がる。どこに政府のスパイや異なる勢力がいるかわからず、その発言で不利な状況に追い込まれるかわからないからだ。ある人はこう言った。
「バシャール・アサドのせいで子どもたちには教育もないのです。生活もないのです。でもみな怖いのです。私もカメラで撮影していたり、本当名前を言わなければならないのならこんなことは言いません。この時代、相手が誰の側にいるかわからないからです」
それでも何かの変化を求めて話してくれたのである。
「私は全てを失ったのはわかっています。でもなぜ子どもたちまでこのような人生を歩まなければならないのか」
シリア難民の話題はもう飽きてしまったのだろうか。いや、変わらない状況に無力感を覚えるのか。しかし飽きることもできず、日々、そこに暮らすしかない人たちがいる。
アサド政権を存続させてしまったことの罪は重い。そして残してしまったことへの尻拭いも代替案もまったくない。大規模な空爆や銃撃が終わったから戦争は終わりではないのだ。状況が改善する兆しは1つもない。あらたな恐怖と苦しみが作られている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。