2022年8月10日(水)

WEDGE REPORT

2021年2月28日

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伊藤めぐみ (いとう・めぐみ)

中東在住ジャーナリスト

ホームページhttps://itomegumi1483.wixsite.com/website
1985年生まれ。紛争、思想、歴史をテーマに取材。2002年中米ホンジュラス共和国に1年間留学。中部大学卒業国際関係学部、東京大学総合文化研究科相関社会科学修士課程で社会思想を専攻。
2011年よりテレビ番組制作会社ホームルームに入社し、イラク戦争、ベトナム戦争、人道支援、障害者、町工場などをテーマにドキュメンタリーを制作。2018年よりフリーランス。
2013年にドキュメンタリー映画『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』を監督。第1回山本美香記念国際ジャーナリスト賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を受賞。イランの映画祭、Cinema Vérité ; Iran International Documentary Film Festival、アメリカ・ロサンゼルスの映画祭 LA Eiga Fest でも上映。NHK BS1『命の巨大倉庫』がATP賞奨励賞を受賞。ベトナム戦争についてのルポルタージュが潮ノンフィクション賞にノミネート。
現在、イラククルド人自治区のクルディスタン・ハウレル大学修士課程に留学中。

政権を存続させた罪

 シリア難民の多くは彼ら自身のことを話すのを怖がる。どこに政府のスパイや異なる勢力がいるかわからず、その発言で不利な状況に追い込まれるかわからないからだ。ある人はこう言った。

 「バシャール・アサドのせいで子どもたちには教育もないのです。生活もないのです。でもみな怖いのです。私もカメラで撮影していたり、本当名前を言わなければならないのならこんなことは言いません。この時代、相手が誰の側にいるかわからないからです」

 それでも何かの変化を求めて話してくれたのである。

 「私は全てを失ったのはわかっています。でもなぜ子どもたちまでこのような人生を歩まなければならないのか」

 シリア難民の話題はもう飽きてしまったのだろうか。いや、変わらない状況に無力感を覚えるのか。しかし飽きることもできず、日々、そこに暮らすしかない人たちがいる。

 アサド政権を存続させてしまったことの罪は重い。そして残してしまったことへの尻拭いも代替案もまったくない。大規模な空爆や銃撃が終わったから戦争は終わりではないのだ。状況が改善する兆しは1つもない。あらたな恐怖と苦しみが作られている。

  
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