テキサス州の電力市場
テキサス州は、電力供給についてみる限り、全米の唯一の自主独立路線だ。全米の電力需要の10%以上を消費する全米1の電力需要州にもかかわらず、送電線はメキシコと東側の隣接州と僅かに連携するだけだ。系統運用も他州とは全く連携せずにテキサス電気信頼性評議会₋ERCOTが行っている。
電力市場では、自由化当初から容量市場も予備力も用意せず、電力卸市場の力で設備を導入する方針を取っている。具体的には、卸市場価格が大きく上昇する時があれば、発電事業者は短期間で収益を上げることが可能になり新規設備導入を行う筈との考えだ。このため、電力需給が逼迫した際には州の公共事業委員会は卸電力価格を意図的に引き上げ、節電を促す一方、事業者が設備新設を考え易くする制度を導入している。委員会が設定している卸上限価格は1kW時当たり9ドルだ。通常の卸価格2セントから4セントと比較すると数百倍になる。
テキサス州だけは、連邦政府のエネルギー規制委員会(FERC)の監督下に置かれておらず、連邦の制度を離れている。例えば、上限価格9ドルも連邦政府FERCの下では許されておらず上限価格は2ドルとされている。今回一部消費者の電気料金を大きく引き上げることになったのは、この9ドルの上限価格だ。