2024年6月25日(火)

WEDGE REPORT

2021年3月4日

容量市場と戦略的予備力

 電力需要は季節により時間により大きく異なる。経済的に貯めることが難しい電力では、電力需要が高い夏場あるいは冬場の一時期しか稼働しない発電設備を用意しなければ停電する。日本では東日本大震災前のデータしかないが、2009年度九州電力の石油火力発電所の利用率は3%、中部電力5.6%だった。1年のうち10日とか20日しか稼働しない設備ということだ。昨年夏停電を経験したカリフォルニア州では利用率が1%を切っている天然ガス火力もある。1年のうち数日しか利用しないことになる。利用率が低くてもこの設備がなければ停電するので、需要が高い時に備え発電事業者は設備を維持する必要がある。

 自由化された市場では、利用率が低く収益を生まない設備は老朽化すれば建て替えされなくなる。収益を生まないから当たり前の話だ。しかし、設備がなくなれば停電する。この問題を解決する案として考えられたのが、容量市場だ。設備を維持し、電力の系統運用を行っている機関から指示があれば必ず電力を供給することを約束する見返りに設備量に応じ一定額が支払われる制度だ。市場と呼ばれるのは、どの設備が資金を受け取るか入札制度により選択されるからだ。例えば、再エネ設備が増えているにもかかわらず、全設備量が波を打ちながら減少している英国(図-1)では、容量市場が導入されているが、その入札結果は図-2の通りだ。

 

 容量市場ではなく、電力需要量が急増した時に備え予備力を用意している電力市場もある。例えば、ドイツは老朽化した石炭火力発電所を廃止させず、休止の形で維持させ、電力供給が不足する際には発電できる戦略的予備力としている。だが、テキサス州にはどちらの制度もない。では、どうしているのだろうか。


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