2022年12月6日(火)

サムライ弁護士の一刀両断

2021年3月5日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

国際的なノウハウ共有や協力の枠組みが重要

 改正法が成立することにより、新しい裁判手続や請求対象の拡大により、発信者情報開示請求の効率化が期待できます。

 もっとも、新しい裁判手続にどれだけ利便性があるかは、実務での運用が始まってみないとはっきりしない部分もあります。

 ネット上の誹謗中傷で特に手を焼くのは海外のコンテンツ事業者の場合です。新しい裁判手続も、日本でサービスを展開する海外事業者であれば、手続きを取ることが基本的に可能ですが、まったく新しい手続のため、どのような対応を取ってくるかはまだ分かりません。

 海外大手といえども日本でサービスを展開する以上、裁判所の命令を全く無視することは考えにくいのですが、例えば、アクセスプロバイダに関する中間的な情報提供命令に対して強く反対の意見を出したり異議を唱えたりして、徹底的に争う方針を示すということもあり得るでしょう。

 そもそも、全世界的にサービスを展開する巨大プラットフォームに対して、日本の法律だけで発信者情報開示の枠組みを作るのは、残念ながら限界があると言わざるをえません。

 他方で、ネット上での権利侵害の問題もやはり世界共通の課題です。今後、法改正が実現された場合、新制度の運用を通しながら発信者特定の範囲や手法について国際的な協力の枠組みやノウハウ共有が図られることが望まれます。

  
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