サムライ弁護士の一刀両断

2020年3月16日

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新型コロナウィルスの感染拡大とマスクの転売規制

(Naoki Nishimura/AFLO)

 新型コロナウィルスが全世界的な問題となっています。

 感染拡大の不安による買い占めが世界各地で報告がされており、わが国でもマスクやトイレットペーパーなどの一部の生活必需品が品薄になっています。また、それに乗じる形でフリマサイトやオークションサイトでは「転売ヤー」などと呼ばれる業者による高額転売が見受けられます。

 そんな中、厚生労働省、経済産業省、消費者庁は3月11日、マスクの転売規制を実施することを公表しました。これにより、3月15日以降、マスクの転売行為が違法となり、罰則の対象となる可能性があります。

 どのような場合に、マスクの転売が違法となるのでしょうか。

対象は「衛生マスク」に限定

 今回の転売規制の対象は「衛生マスク」です。

 衛生マスクには、風邪や花粉症対策のための家庭用マスク、医療従事者が診察や治療に用いる医療用マスク、防塵対策用の産業マスクなどが含まれます。

 スキンケア用のフェイシャルマスクなどは、「衛生マスク」には含まれません。

 また、新型コロナウィルスに関連して品薄が取りざたされているトイレットペーパーやその他の商品は、現時点では転売規制の対象とされていません。

小売店等の商品の高額転売だけが規制対象

 次に「衛生マスク」であっても全ての転売が禁止されるわけではありません。規制の対象とされるのは、次の3つの要件の全てを満たす場合です。

  1. 不特定の相手方に販売する店舗やサイトから購入した商品の転売であること
  2. 購入価格よりも高い価格で転売すること
  3. 不特定多数に対して転売すること

 ①については、「不特定の相手方」すなわち一般の消費者向けに商品を販売しているスーパーやドラッグストア、ネットショップなどから購入したマスクの転売だけが規制の対象となります。

 メーカーや卸売業者が業者向けに販売したマスクを販売する場合は転売規制の対象となりません。ただし、メーカーからの購入であっても、消費者向けのアウトレット販売などで購入したような場合には規制の対象となる可能性があります。

 ②については、購入価格よりも高く販売する場合だけが規制対象となるので、購入価格と同じか、安く販売するような場合は規制されません。なお、購入時の消費税や送料などは、購入価格に含まれます。

 ③は、店頭販売やネットオークションやフリマサイトなどを使って不特定多数の相手に販売する場合が規制の対象となります。親戚や友人のように限られた範囲の人に買い取ってもらうような場合は、基本的に規制対象にはなりません。

個人による一過性の転売も違法となる

 今回の転売規制ですが、業者による転売だけが対象となるわけではない点には注意が必要です。ごく普通の個人が1回限りで販売するような場合も規制の対象となります。

 たとえば、たまたま使いきれなかったマスクをネットオークションに出したところ、思いのほか高く売れてしまったような場合であっても、違法となる可能性があります。

 そのような悪意がないような場合にまで罰則が適用されるのかは実務的には疑問ではあるものの、違反に対しては1年以下の懲役または100万円以下の罰金の適用があるので要注意です。

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