世界の記述

2020年3月13日

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大西康雄 (おおにし・やすお)

科学技術振興機構・中国総合研究・さくらサイエンスセンター・特任フェロー

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを歴任。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、まだ流行の終息が見通せない。中国では、全国的な人の移動制限で企業経営が打撃を受け、新型コロナの流行が春節期間と重なったことで、消費全般が冷え込んでいる。さらに流行は世界に拡散する兆候を見せており、今年の世界経済が落ち込むことは不可避である。

新型コロナウイルスの影響で在中国のすべての企業活動が停滞している(AP/アフロ)

 まず、中国経済への影響を見る。在中国のすべての企業の活動は停滞している。2月9日まで延長された春節休暇終了後も、営業再開には地元政府の許可が必要とされる状態だ。また、人の移動制限が続き、再開しても従業員の復帰が遅れている。

 中国の中央・地方政府は、まずは、①納税の免除・猶予、②社会保険料の企業負担分の納付減免、③不動産賃料やガス・水道料金の引き下げなど、企業の当面の困難を軽減する通達を出した。現在は、経済全体の再始動に全力を挙げる体制に移行している。2月中旬には上記した営業再開制限緩和が地方政府に通達され、2月25日現在で、中型(工業で従業員300〜1000人)・大型(同1000人超)企業の営業再開比率は78.9%と報じられた(中国国家統計局)。

 ただ、企業の見方は厳しく、2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月より14.3ポイント低い35.7とリーマンショック直後(2008年11月)の38.8を下回る過去最低だ。IMFは、20年の成長率予測を5.6%と0.4ポイント下方修正した。この予測は、第2四半期に経済が平時に戻るとの想定に立っており、海外調査機関・アナリストはさらに低い予測をしている。

 まとめると、通年で5.0~5.8%と0.2~0.7ポイント下方修正されている。第1四半期については3.0〜4.5%で、前年同期実績比で1.9〜3.4%低い。前期(19年第4四半期)比でも約0.5ポイントのマイナスで、マイナスはSARSの影響を受けた03年第2四半期以来である。

 中国地場企業への影響については、清華経営管理学院や中国郵政貯蓄銀行などのサンプル調査に基づく分析がある。零細(工業で従業員20人以下)・小型(同20〜300人)企業と中型・大型企業別にみると、資金繰りショートまでの期間は、前者の半数、後者の4割が3カ月以内。事業回復までの期間は、前者の半数が2カ月以内、後者の半数が1〜3週間と予想されている。支援策が急がれるべきだろう。

 次に、世界経済への影響について見る。IMFは年率0.1ポイント下がる3.2%と予測しているが、日本への影響はもっと大きい。中国の前期比マイナス0.5ポイントを前提として、日本の第1四半期は0.48ポイント(年率換算2%)のマイナスになるとの予測もある。景気が消費増税で減速しているなか、この影響は無視できないといえよう。

  
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